スキ、キライ、スキ、キライ。道端に落ちていた花を拾って暇潰しがてら花弁を一枚ずつ取る。キライで全部無くなった。んー、ダメだ。なんのダメかなんて知らないけど気分は少なからず落ちていたから歩き慣れた道で落ちている花を探してまた手に取る。

スキ、キライ、スキ、キライ、スキ、、、、キライ。

こんな事になんの意味があるのかなんて考えもせずまた拾う。案外、視線を向ければ花は落ちていた。

仕事でミスしたとか、なんか嫌なことがあったとか、そんな気分消沈することは無かった。普通の日常で、別段たいしたこともない。歩く足がフラフラ探しながら走行して、また一枚ずつ取っていく。多分、少しだけ疲れていたに違いない。

スキ、キライ、スキ、キライ。
また終わる。はぁ、と溜息が零れて笑ってしまった。残る花は一つ。気付けば事務所の階段だった。流石に、こんなところには花はないからこれで最後。名残惜しいように手が花弁に触れた。

スキ、キライ、、
一段ずつ登りながら花弁はヒラヒラ指先からこぼれ落ちていく。

スキ、キライ、スキ、、、

手が止まった。残りは一枚。またか、とドアを開いた。瞬間パーンっ、と破裂音に驚く。ヒラヒラと小さな紙が目の前に浮遊して、見れば満面の笑みを浮かべた仲間達。

「誕生日!!おめでとぉーーー!!!」

人数分の花束。視界いっぱいの華やかな花。両手では到底抱えきれない。たくさんのプレゼントにケーキ。ありがと、歯切れの悪い声が出た。泣きそうになって堪えて、席に促される。多分、疲れていた。だから、意識しない事に意識して柄にもなく道端の花を取って。こんな日だからまた一人だと思って。

周りがガヤガヤと笑い始めた。一気に騒がしくなった風景と環境。


スキ、キライ、スキ、キライ、、スキ…

なんだ、もう数えなくていいんだ。








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