「夕歩さん?」
「ん?」
「近いなぁって思うのはわたしだけ?」
「うん。順だけだよ」

逃げ場を無くすように後ろは壁。身体は華奢で軽いから、肉体的な苦情はないけれど、ーーまって?なんでこんな状況?
足を伸ばしてた、その太ももに跨いで首に腕を絡められて…。その瞳は何時もよりトロンとしている。

「夕歩、酔ってる?」
「うん、酔ってる」
「酔ってるのぉー!?」

机の上には空っぽのチューハイが一缶。一缶で酔うほど弱いんですが!?うちのお姫様。これはダメだ。絶対他の人とお酒は飲ませられない。寧ろわたしだけと飲んでほしい願望。だけども、ちょっとこれは理性的にまずい。いや、嬉しいんだよ?嬉しいんだけど…、うわぁっ!まてまて!顔を近付けるのは反則だって!いや、嬉しいんだけど…
わたしこと御庭番の順ちゃん、姫君に手をあげるなど理想的!って違う!セクハラ紛いはできるけど、これガチぢゃん!危険ぢゃん!理性もたないって!

「ほほほほら、夕歩ぉ?酔い冷まそうね?みみみみず、持ってくるから」
「ダメ」

ダメって、、、
ええーーー。
どーする、どーする、
パニックの対処法、
この現状の対処法、



「順に酔ってるから冷ましちゃダメ」


唇が重なる。
もう無理です。
神様、綾那様
どうかご勘弁を…




雁字搦めの誘惑





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