nowadays I can't see my future.の続き




最上階から見る景色は広く澄んでいてまるで、一種の死刑上のように見えた。
階段を駆け登り背中を追って辿り着いた時は息が上がっていた。なんだってンだ。舌打ちは風にかき消されフェンスぎりぎりで立つどーしようもない辛気臭い顔した祈は笑う。
「なに?」
「コッチが聞きてぇーンだけど、」
肩で息をしてゆっくり吐くように言った。あの日を境にかわったことは一つ。こいつはわたしを避けているということだ。理由は知っている。ではそれを理解はしたけれど詮索することをこいつが望むわけではない。言葉が欲しいわけでもない。コイツが欲しいのはいつだって温もりだ。
だからこそそんはもんなんてなんの意味も持たない。
「祈」
呼べば視点の合っていない瞳がわたしを射抜く。あァ、バットタイムで、バットエンドだ。そう思えてならないのはきっかけのあの日、縋ってきたときと同じ目をしているからであって決してわたしが臨んだエンドロールではないけれどこれもこれで一つの形であり一つの最終ではないかと
「わたしは思ってンだけど、祈てきにはどーよ?」
「ハッピーエンドじゃないわ」
「そもそもハッピーエンドなんてないンだよ。あたしたちの関係には」
ーーーアンタもわかってんだろ。
でなきゃ、こうなってない。万が一今の現状を打破できて何になる?用意されたエンドロールに逆らっても次ぎが来るだけで現状維持にしかならない、と
「そう思ってンだけどどーよ?」
「そ、うね…」
ごめん、ありがと。アイシテルアイシテルアイシテル。ずっと閉じ込めていたい、イタイ、痛い、居たい、壊れたように笑う祈をみて口角が上がる。
ーーアァ、イイ響きだ
ナニかに縋って生きることは悪くはない。そうして生きていくこともまた人間だと思うからだ。ただ縋る相手を間違えた。順番も、その他もろもろに縋る感情も。
「戻れない、な」
「あの時わかってたらよかった」
「そーっすね〜。それはドーカン…ただ気付いてた気がする気もする」
「あぁ…それは同感」
タイミングを逃した。その時はその時でしかない。その時に解消できぬ問題は引きずった時点終止符だ。猶予は抜けてしまった。稚拙な愛が見つかった時はもう既に遅かった。それだけなのだ。ただ愛しすぎた。お互いに、お互いを…。だから、と頬を伝う涙を拭うことなくキレイに笑ってそいつは言う。
「バイバイ」
ーーーそーいえば泣いてる祈を見るのは二回目だな。わたしはゆっくり歩いた。地を踏みしめて。ーーー拭ってやったのは一度ぽっきりで乱暴にふいちまったなぁ。近づけば同じ分だけ下がりたいであろう足はフェンスに遮断された。ーーーアァ、あんときは悪かった。わたしは華奢なこいつの身体を抱く以外で初めて抱きしめた。祈の震えは止まらなかった。ーーー落としまえ付けるわ。

「ごめんな。ちゃんと愛してやれなくて。代わりと言ってはなんだが、もれなくアタシをプレゼント、ってのはいかがでしょーか」
「笑えない冗談ね」

二人はフェンスを登る。抱き締める力を一層強めて思うのだけれど、やっぱこいつは温もりを求めて彷徨ってた純粋なガキでしかなくて、アタシは単純にその無垢なガキの腕がたまらなく欲しくなってしまっただけなんだと。

「アッチでも仲良くヤろうか?」

祈はただ笑って涙を零した。重力に従う身体に広がった生温い濡れた感触が心地よくて目を閉じて頭を抱えてやった。

三回目は拭ってやれて良かったと思った






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なんかすいません。




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