「私実は処女なの」


映し出される映像。テレビは沈黙の間も進んでいく。

ーーセックスをし過ぎると膣が緩くなると言われますが、それは真っ赤な嘘で、逆に動かす事で回りの筋肉は発達するためセックスをすれば筋肉は発達し締まりが良くなるということです。ただ、女性の膣は物に合わせて形が作られていくため、緩くなるというならば、本当に男性器が小さいか、膣が元から大きいか、という問題になってきます。

ざっと、一分から二分の時間でテレビから流れる声が脳内を占めていた。隣からの反応は全くない。息も乱れず、目も逸らさず私と斗南さんは真っ直ぐ私の部屋でテレビを見つめている。

「私、処女なの」
「なンで二回言った?ッテカそれにあたしはどー反応とればいいンすかね?」
「筋肉、ないかも」

なんの心配だよ、斗南さんは呆れ口調にそう言った。やっぱり目は合わない。

「どーしよ、斗南さんを満足させられないかも…」
「イヤイヤイヤ、いろいろ吹っ飛ばしてンだよ。アンタ…!まず、付き合ってねーだろ!」
「付き合ってなくてもヤれるわ!」
「自信満々に言うな!!」

やっと目が合えば、本当に斗南さんは露骨に顔を歪めていた。呆れにも最上級の呆れ。ま、いいぢゃない。付き合って無くても、もー付き合ってるようなもんだし。言葉がないだけで一緒の時間を共有して、キスだってした仲ではないか。

斗南さんは床に置かれた缶ジュースを手に取り喉を潤していた。いいチャンス。見計らってはないけどこのタイミングだ。「付き合いましょう」と出た言葉に「ぶーーーッッ!!!」と間髪入れずにジュースが水飛沫になり斗南さんの口から発射。そして見事に顔面キャッチ。

「斗南さん、、こういうプレーが好きなのね」
「ちげーよ!!お前が変なコト言うからだろーがっ」


ーーー確かに、始めての人は免疫がないため痛いだとかキツイと良く言いますが、それも全て身体の個性。元から膣が広い方は痛くないケースもあると思いますよ。


テレビはどんどん流れていく。まず、なんでこんなの見てんだよ!と遅いツッコミは些か見苦しい。なんとなく付けたテレビにチャンネルを回さず、なんとなく映し出された内容がこれだっただけで、お互いやっぱりチャンネルを変えなかったのだから押し付ける罪は私だけのものではないでしょうに。


ジリジリと身体を斗南さんに近付けて、仰け反るその身体に半ば乗る。狼狽える斗南さんの顔と目の先。

「ねぇ、わたし初めてなの」
「わ、わかったわ!!結構意外っつーか、なんつーか、、、ってか、あたしツイてねーから満足もクソもないわけで、、、まぁ、男とヤるよりかは女とヤったほーが…痛くわないと思うンだよな。」

って、ナニ言ってンだよ!!アタシ。見事なまでに顔色が変わる変わる。あまりない斗南さんの慌て顔は面白かった。付き合う前にヤる事が道徳違反なれば、選択は一つしかないわけで、そんな違反、斗南さん的には極普通の事かと思いきや案外にも忠実に純情な愛からの行為を希望のようだ。なら、そうね。


「好き。付き合って」
「…ガチ、だよな?」
「うん。当たり前でしょ」

みるみる斗南さんの顔が赤く染まる。への字に閉じられた口は力が入っているようで、解かれた瞬間はぁ、とか細い溜息。

「アンタが言うな、、」
「え?」
「あたしが先に言いたかったンだよ」

あー、えーと、、
こちらこそお願いします。

見ることもなく、手元にあったリモコンの一番上のボタンを手探りで押した。プツンと音と共に声も無くなる。こんな野蛮なテレビいらない。私と斗南さん意外の音は無粋というものだ。

「優しくシて」
「考慮する」
「始めてぢゃないでしょ?」
「まぁ、、」
「お付き合いしてるんだから我慢なんて身体に悪いわ。両想いで付き合って、身体の関係は付き合ってからがいいんでしょ?」
「好きな奴限定だよ、おジョー様」

いつの間にか斗南さんを押し倒していた。それもすぐさま形勢逆転。無駄に高揚感が増す。まじかで見下ろされるマジ顔に心臓が跳ねた。いつもと違うその表情に見惚れながら塞がれた唇。そっと、くっついて、離れた。

「なんつーか、いいように流された気しかしねーけど、、、」
「結果オーライ?」
「もー、、とまんねーからな」

うん。止めないで。はやくはやく。好きなの触れて。たくさんたくさん、、愛して。

深くなる口付けに、理性はさよなら。




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