2013/10/03---松岡凛※

 私が凛と似鳥君の部屋に来て1時間と少し。凛が課題を始めて、もうすぐ1時間。私はなぜ部屋に呼ばれたのだろう。外は暑いから室内はありがたいけど、理由はまったく分からん。けれど、凛が机に向かっている時の意外と真剣な姿勢と、背中を眺めるのはとても好きなので、まぁよしとする。それにしても、全然こっち向かないし、私もそろそろ飽きてきた。あー、風が涼しい。

「凛」
「りんちゃん」
「りんりーん」


「……うっせぇな何だ」
「んーふふふ、呼んだだけー」
「笑い方が変態臭ぇ」

 椅子の背凭れに肘を掛け、少しだけ私を見やると、口角を上げていじわるな笑みを浮かべる凛。するどいギザギザの歯も、切れ長なワイン色の瞳も、細いのにバランスよく筋肉のついたからだも、今は、私だけが見てる、凛。

「なんつー顔してんだよ」
「えー別にー」
「ヘンなこと考えてたろ」
「えっ?」

「冗談。もうすぐ終わる」

 今すぐ抱いて!とでも言い出しそうな顔をしていたのだろうか。だとしたらあながち間違いじゃないんだけどなあ。肩胛骨の部分が大きく開いたタンクトップが部屋着なのは知ってるし、髪だって暑いし勉強するから束ねたのだって分かるのに。凛の髪が風に靡く、汗がうなじを伝う。お預けもいいとこだと思う。つまみ食いしたら怒られるかな。

「りん」
「あ?なん……っ、痛ぇ!何しやがんだ!」
「凛の肩胛骨が私を誘惑してくるのが悪いと思うの」
「し・て・ね・え・よ」
「無自覚ほど罪なものはないわ……」
「被害者俺な……ったく」
「怒った?ご、ごめんなさい、噛まないで」
「は?先に噛んだのお前なんだけど」

 仰る通りです私が悪うございました。とはいえ、本当にこれは凛の肩甲骨がイケナイと思うの。頭の中で弁解会議を繰り広げていると、不意に体が宙に浮いた。持ち上げられたのだと理解したのは、頭上で凛が「重い」とこぼしたから。
 すぐにベッドに降ろされたと思えば首の後ろをがっちり押さえて荒々しく唇に噛みつかれた。ほら、やっぱり噛むんじゃん。




(ベッドでうんと気持ちよくしてあげる)
20131003 title#mazo

 
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