2013/07/03---黒崎蘭丸

 とある日の晩御飯時に、楽屋でばったり蘭丸と遭遇した。あまりにも窶れていたので理由を問うと「朝から仕事づくしでろくな飯食ってねぇ」だそうでノリでdinner (自宅)へ招待したらフラフラと覚束ない足取りで付いてきた。素直すぎてちょっと気持ち悪い。レアだ。

「今失礼なこと考えてんだろテメェ」
「何を言っているのかしらオホホ」
「ざけんな早くしろ」
「はいはい」

 蘭丸を乗せて、車を走らせる。嶺二に負けず劣らずの、自慢のマイカー。蘭丸の定位置は、運転席の後ろ。ファンに目撃されるとまずいっていうのが理由らしい。まあ後部座席はスモークガラスだし蘭丸にとって安全って言えば安全だけど。

「まだ着かねーのか」
「……もーちょい」

 集中出来なくて困る、 私が。
 蘭丸はシートに腰掛けると、運転席のヘッドレストに手をかけて凭れかかる。つまり、顔が異様に接近する。そこで喋られると、不覚にもどきりとときめいてしまう。お前世間では女ギライとか言われてるけど、実はそこそこ遊んできてるんだろうとか、違うなら果たして蘭丸は私のことをどういうふうに見ているのか。なんかコレ前に1回訊いたな。「女っつうより男だろ」とか失礼なこと言ったから鳩尾エルボーだったやつ。

「…お前」
「へあ?」

 変な声出た。だからその位置でいきなり喋るなと何度言ったら…や、口に出して言ったことはないや。言ったりしたらその時点で私が蘭丸を意識しているのがバレる。蘭丸が忌み嫌う¨女¨には、なりたくはない。
 クツ、と蘭丸の笑う音が聞こえる。

「…変な声」
「わーかってるよう。どうせ可愛くない声ですよーだ」
「可愛くないとは言ってねぇ、あ」

 …なぁに、それ。



20130703
最初考えてたのは、蘭丸とヒロイン宅→混ぜるだけパスタ作る→蘭丸「なってねぇ」→なぜか料理を始める→RAN'Sキッチン…のはず

 
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