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愛で傷つけて
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愛で傷つけて


愛しいからこそ
壊したくなる

壊したら
永遠に俺だけのものだから。


『……ッ嫌ぁ…
何であたし裸なのぉ…』


嫌々、と首を横に振る女。

白い肌を隠す物は何一つ無い。
生まれたまんまの上体で、両手首は天井からつるされた鎖に絡み取られ、白い頬には大粒の涙が、一つ、また一つ。

不可解な状況に置かれている事は理解しているようだ。
彼女はどうにか逃げようと身体を捩るが、動けば動くほど、鎖は肉に食い込む。
ジャラジャラと鎖が揺れる音が、二、三度この暗い部屋に響いたが、それはすぐに止んだ。


『痛い…ぃ…』


ぐすぐすと泣くだけの女。
理解力は早い。
抵抗するだけ痛い、と気付いたのか、じっと動かずに泣く。
時々鼻を啜る音以外、彼女は何も言わなくなった。


俺は、その様子をこの暗い部屋の片隅で見つめていた。
彼女に理性と自我が残っているのならば、俺が此処に居ると気付くのも時間の問題だ。

俺は考えた末に、自ら動く事にした。


『…ッ誰!?』


ほら、俺が動く気配を敏感に感じ取っている。
周りが見えている、という事は、判断力がある、と言う事。


「…よぉ、随分ご機嫌斜めだな?」
『…ッ阿…阿近…さん』


俺の姿を見て、いささか安堵の様なものをちらつかせる。

それもそうだろう。
訳の分からない状況に、自分の"恋人"が姿を現したのだから。


『な、なんで…こんな事…』
「何で?
分かって無いのか?」


短い茶色の髪。
人懐っこいこげ茶色の瞳に、白い肌。
淡い桜色の唇は絶えず弧を描き、誰にでも好印象を与える。

…その笑顔を
一人占めしたいと思って、俺のモノにしたのに。


お前は…なまえは、他の男にも同じ様な笑顔を向けている。
それが許せなかった。
お前は…

なまえは


俺 だ け 見 て い れ ば
良 い ん だ よ



「…本当に分かって無いんだな」


くくっと喉で押し殺したような笑いに、彼女は怪訝そうな表情を浮かべる。


「まァ、知っても知らなくてもどっちでも良いことだ」



お前を二度と外に出すつもりは無いから


そう言い捨てると、なまえは驚愕と絶望の色を見せる。
俺は煙草を咥え、肺の奥まで煙を吸い込み、吐き出した。
じゃないと平常心が保てそうになかったから。


一人占めにしたくて、でも出来なくて。
どうやったら出来るんだろうか、と考えて辿り着いた答えが"監禁"。
そんな簡単な答えすら、見えていなかった自分が疑わしい。

独占欲の塊の俺に支配され、霰も無い姿で立たされている。
しかも、その拘束を解けるのは俺だけ。

絶望の淵に立たされた女は
酷く美しい。

勿論、俺はその救いを求める手を、振り払うのだが。
だって、絶望に突き落とされる瞬間のその表情は、何よりも、誰よりも。
この世の全ての中で、美しいから。


「つまり、理由を聞くだけ無駄だって事だ。
分かったら、精一杯愉しませてくれ」


石造の床に煙草を落とし、踏みつけた。


『い…いや…ッ』


何をされるのか、予想が出来たなまえは脅えた表情で俺を見つめる。
涙と恐怖で歪んだその瞳に、映る俺は酷く醜い。


「そうだな。
取り敢えず、これで一人愉しめ。
俺は仕事が有るんでな。
ああ、声は幾らでも出して良いぞ。
防音にはこだわったんだ」


ニヤリ、と笑って俺はまた一歩となまえに近付く。
ポケットから出したのは、暇潰しに作った玩具。

現世の大人の玩具とかいうのを参考に作った、ローター。
それをなまえの目の前で震わせて見せた。

とてつもなく恐ろしい物を見ているかの様な表情に、俺は笑った。


「そう怖がんな。
すぐ気持ち良くなる」
『い…いや…』
「拒否権は無い」


無情にもそう吐き捨てて、なまえの小さな蕾に押し当てた。


『いやあぁあッ』


びくびくっと躯を揺らし、背中を反らす。


「なんだぁ?
そんなに気持ち良いのか?」
『違…!ッああ』


違う、と否定しても躯は正直なもので。
既になまえの白い太腿の内側には、蜜が伝い始めている。


「分かってんだろうな?
勝手にイッたら、お仕置きだ」


耳元で低く囁けば、それだけで肩をぴくんっと跳ねさせる。
その様子を見て口角を上げて、俺はローターをなまえの良いトコロに当たる様に装着させた。


「ああ、なまえは中も好きだったよな?」


そう言って俺はもう一つ、一回り小さいローターを蜜壷に埋め込んだ。


『ッああ…!!』
「落としたら、お仕置きじゃすまねえからな」


そう言い残し、俺は部屋を去った。


『阿ッ…近さぁ…!!』


喘ぎ喘ぎに俺の名を呼ぶなまえに、密かに笑みを深めながら。


「さて…と」


"仕事"とは言ったが、実際の所今日は非番。
なまえを残して何処に来たかと言うと、隣に設置したモニター室。
なまえの居る部屋には、計五ヶ所に隠しカメラがセットされている。
それに合わせて五台のモニター。

なまえを正面から撮っている物
両端から撮っている物
頭上から撮っている物

そして何よりも美味しいのが、なまえの足元の床に埋め込んだカメラ。
ああ、ほら。
蜜を溢れさせているのが、良く分かるぜ?


煙草をふかし、モニターを見つめる俺。
これじゃあ唯の変態だな。

まァ、なまえを閉じ込めた時点で犯罪なんだけどな。



…犯罪に手を染めてでも、お前を閉じ込めたかった。
俺は自分で思っていたよりも、ずっと独占欲が強いらしい。



《ッああ…んぅ…!ハァ…ぅ》


なまえは忠実に俺の言い付けを守って、まだ達ていない。
あと一歩の所で巧く快感を逃している。

…つまらねえな…

俺は遠隔操作できるリモコンを片手に、モニターを見つめる。


《んぁ!!?…ああッ》


威力を最大にし、様子を伺う。


《やああぁ!んも…ッああ》


先程よりも、ずっと激しく喘ぐ。
なまえの頬を、涙が濡らしていく。
喘ぎっぱなしの口からは、銀色の糸。

さっさと理性なんて、失くしちまえば良いのによ…

俺は蜜口に入っている方のローターも、威力を最大にまで上げた。


《んん!?…ああッあ!
らめェ…ッ…怒られ…ちゃ…!!》


鎖が食い込むのもお構いなしに、躯を捩り、快感から逃れようとする。
ああ、そう、その顔が見たかったんだよ。

理性が途切れる瞬間。


《やああぁぁぁあぁ!!》


ああ、ほら。
壊れちまった。



―ガチャッ…


扉を開ければ、ぴくぴくと躯を揺らすなまえ。
ヴー…というローターのくぐもった音と、何処からか聞こえる水音。


「あーあ。
漏らしちまたのか」


なまえの足元に出来ている水溜り。
其処の中央に転がるローター。

…カメラ、防水にしといて良かったな。


『あ…ッ…ら…めェ』


だらしなく涎を垂らし、虚ろな瞳で床を見つめる。
俺の存在にすら、気付いていない。


壊れたお前は
本当に美しい…


狂気染みた俺に
愛された事を恨むんだな。


「なまえ、なまえ」


呼び掛けるが、応答は無い。
どうやら本当に壊れたのか、一時的に意識が飛んでいるか。

どちらにせよ、このまま終わらせるつもりは無い。
俺はなまえの背後に回り込み、着物の前を肌蹴させ、天を仰ぐソレで一気に貫いた。


『あ゙あああぁぁあッ』


ビクビクッと背中を大きく反らせる。


「また勝手にイッたのか?
本当に淫乱だな」
『あ…こ…さん…!?
やめ…ッああ゙』


薄らと意識を取り戻したなまえを、容赦なく後ろから突き立てる。
ジャラジャラと、鎖が激しく揺れる。


『もぉ…ッらめ!!
壊れちゃ…ッよぉ!』
「ほぉ?…ッどんな風にだ?」


締め付けの激しい蜜壷に、更なる快感を追い求めてもっと奥まで突く。


『あこ…ッさあぁッ
ああ゙!!も、また…!
ああぁぁああ゙ッあ゙あ』


ビシャビシャッと、突く度になまえの秘部から潮が噴き出る。


「この淫乱…ッどんだけ漏らせば…ッア…気が済むんだよ」
『ぅ…あ゙』


もう声にすらならない声で喘ぐなまえ。
今度こそ壊しちまったか、と思いながらも、今更律動を止める訳にはいかない。

なまえの腰を抑え付けて、最奥を目指して突く。


『あ゙…ぐッ…あッッ』
「ッ俺も、ほとほと可笑しいよな…ッ
壊れちまっても、こんなに…ッハァ…愛しいだなんて…」


まるで人形にでも話しかけるかの様に、返事の無い会話を続ける。


「…こんなんでも…俺、お前の事…ッ
愛して…んだ…ッ」


快感の波が、もうすぐ其処まで迫って来た。


「…なァ…俺の子ども…産めよ…
くっ……も、出る…!」


ガンッと一番奥を突き、白濁とした欲望を吐き出した。


『あ…っつ…ぃ』


びくびくと華奢な肩を震わせ、遂になまえは意識をも手放した。
そんななまえから、ズリュッと卑猥な音を立てて自身を引き抜くと同時に、欲望が溢れ出て来てなまえの太腿を伝った。


ゆっくりとなまえの細い手首から鎖を外す。
重力に従って崩れるなまえを支え。紫色に変色し、所々血が滲む手首に、優しく唇を落とした。

どうして俺はこうなんだろうか。

大切なのに。
何よりも愛しているのに。

傷付けてばかりで。

守りたいのに、自らの手で壊して。

細いなまえの躯をお姫様抱っこして部屋にまで連れて行った。
閉じ込める、なんて言ったけれど、出来そうにも無い。

誰にでも優しくて、誰からも好かれる。
そんななまえが好きなんだ。


そっと布団に横たわらせると、ん…と、薄い唇から声が漏れた。


『―…阿近さん…?』
「ッなまえ…」


薄く開いた瞳が、定まらない視線で俺を捕えた。


『…どうして、泣きそうなの?』


柔らかく微笑むなまえに、鼻の奥がツンと痛くなった。


『あたし、ね。
阿近さんになら、閉じ込められても良いよ…』
「なまえ…?」
『あたしも、阿近さんの事愛してる……か…ら…』
「なまえ…」


なまえはそれだけ言うと、規則正しい呼吸を始めた。
リズムよく上下する胸を見つめ、穏やかな寝顔がそこにある。

…こんな俺でも、お前は傍に居てくれるんだな…


「…有難う」


そう呟いて、なまえの手を強く握った。
この手を、失わなくてよかった…
この温もりが、まだ傍にあるという事を、記憶に刻むように強く、優しく。

その小さな手を、包み込んで眠りに就いた。







愛で傷つけて
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愛で治して。


(余裕のない鬼畜阿近さんが好きなんです)

11.08.07.20:33

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