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偽狂愛
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偽狂愛



そう、これは

偽物で
狂っていて


でも、確かな愛。


『……ギン…』

「ん?」


月が照らす布団。
ボクの腕の中で、寝息の代わりに不安気な溜息ばかり漏らす君。
遠慮がちに投げられた声に、ボクは優しく反応を示す。


『あたし…怖いの』

「何が?」


大きな瞳を伏せ、月明りが頬に睫毛の影を落とす。


『明日の虚討伐…』


そのか細い声に、ああ。と頷いて見せた。
明日はボクと君とで何人かの隊士を引き連れて、虚討伐に行く任務が有る。

君はついこの前席官に昇進したばかりで、表立って戦闘に向かうのは初めてやった。


「……ボクが居てるやない」


優しく微笑んで見せれば、君もホッとした様に微笑う。


『そうだよね』

「せやから、安心して眠り?
ボクが護ったる」


耳元で囁く様に言う。


「おやすみ」


その言葉を合図に、君は眠りに堕ちた。

明日、君をこの腕に抱く時
君は朱色に染まっている。
そしてボクは嗤うんや。

君を壊して
君を永遠に
ボクのモノにして。


"護る"


なんて、戯言や。

本当は誰よりも、何よりも
君を壊したいのに。


だから、おやすみ。
狂愛者に愛された
哀れな姫に
永遠の別れを。


君を護る。


永遠のボクのモノにする為に。
ボクの手で、君の死を護る。


君の死は
ボクの手で。

君の生には
刃を向けて


大丈夫
これでずっと一緒やから


君に、愛を。


酷く狂った愛を。



何処かで間違えてしもた
この、偽物の愛を―…








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それでも愛しているのは事実


(ヤンデレ市丸さん)

11.06.05.23:36


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