おかっぱ vs 銀きつね 萌え競争




 











それは、ある休日の午後。
私の定位置のソファーの上で体育座り。
ソファーのギリギリのところに踵だけ乗せて漫画を読む私。


「良え年の女の子がそないな格好してて良えの」


くすくすと笑いながら、部屋に入ってきたのは朝風呂ならぬ昼風呂に入ってご満悦の彼氏サマ。


『―…ギンが良いなら、良いんじゃない?』


そう言う私の隣にドサッと腰を下ろし、まァボクは気にせんけど。と言いながらテレビのリモコンを持ち、電源を入れる。
ピッという電子音の後に、思い出したかのように騒がしくなるテレビ画面。


上半身は何も着ないで、スウェット地のズボンにタオルを濡れた頭に被せただけのギン。
タオルからちらりと見える横顔に、少しドキドキ。

ギンが座った途端、ふわり香るシャンプーの香り。
同じシャンプーを使っているのだけれど、何故か違うものの匂いに感じてまた少し、ドキドキする。


「……何や、良え匂いせェへん?」


タオルを被ったまま、くんくんと鼻を上に向けるギン。


( キツネみたい )


と、心の中で笑った途端、ギンが私を見遣った。
声には出していないけど、心で笑ったことがバレたのかと思ってギクリ、としながらも何食わぬ顔で漫画に視線を戻す。


「なまえちゃん。何、食べてはるの」
『―…え』


はっと気づけば、すぐそこにギンの真っ白な肌。


『あ、飴っ』


白くて綺麗な肌に心臓がフルスピードで動くから、一気に頬が熱くなる。
慌てて視線を外すけど、ギンは離れるわけでもなく。


「甘い?」


そのままの距離で話しかける。


『そりゃあ、ね。飴だし』


しどろもどろしながらも、漫画を見つめる。
だがしかし、内容は全く頭に入ってこない。


「ふぅん、ボクにもちょうだい?」


そう言うけれど、確かこの飴は…


『これが最後だったと思うんだけど』


と、すぐ目の前の机にある、飴の入っていた袋を見つめる。
飴の包み紙が数枚散らばっていて、なかに入っているのか確認できず、手を伸ばす。

でも、その手は袋に届く前にギンに掴まれた。


「せやったら、なまえちゃんのんちょうだい」
『ぇ、ちょ―…んっ!』



掴まれた右手を思い切り引き寄せられ、振り向けば白い肌は目の前で。
躱すこともできないまま、唇を奪われた。



「ほんまや、甘い」
『―っ!』


口角を上げて笑うギンに、口の中の飴までも奪われた。






(もう、おバカッ)(ボクを構うてくれへんのが悪い)
vsオカッパ萌競争。
〜市丸編

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飴よりも、君のその唇が。


(妖艶なギン萌え)





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