君との休日、虹の下





ボクの毎日はきらきらと輝き出した。君のくれた、幸せで。


『今日は天気が良いから、散歩に行こうよ』


無邪気な笑顔でそう言って、ボクの手を引く。
ボクは唯苦笑して、君に引かれるがまま、外に出た。
日差しが強くて、眩しいね、とボクを見上げる君がなんだか愛しかった。


休日と言う事もあり、瀞霊廷は穏やかに賑わう。
夏の入道雲の隙間から零れた日差しが、縁側に届いて仄かに橙色になって畳みを温める。

そない休日、君はボクの手をいつの間にか離していて、子どもみたいに駆け出す。


「そない走ったら転ぶで」


そう言うと、大丈夫!と根拠のない返事が届く。
どうせ今に転ぶ、そう思ったボクは駆け出す君の後ろに急ぐ。


『ギン、見て!』


子どもたちが水道の水でスプリンクラーのようにして遊ぶ。
そこに出来た虹を指差し振り向いた君。
勢いを殺さずに振り向いたから、


「……言うたやろ、転ぶって」


バランスを崩して重力に逆らえずに傾く君の腕を掴んで、ぐいっと抱きよせる。
ボクの胸の中で、危なかったぁ…と溜息を吐く君の額に、デコピンを食らわす。


『い゛ッ!!』
「ボクの言うこと聞かんからや」


痛みに慌てて額を抑える君に軽く説教をすれば、素直にごめんなさいと漏らす。
ボクは軽く微笑んで、君の指に自分の指を絡ませる。


「離れんといて」


そう言うと、頬を赤らめて俯く君。
つむじにキスをすれば、照れ臭そうに笑って。


ボク等の休日は、穏やかに、穏やかに。
幸せの形を育んで閉じていく。


『ギン、大好き』


ボクも。そう呟いて、はしゃぐ君に好きやで、なんて。
これ以上の幸せは、きっとない。




君との休日、虹の下
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(あ、ギン見て見t…きゃあ)(ああほら、また転んだ!)


(ギンは彼女の世話で手一杯だそうです。)

12.08.30.17:33



 

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