別れの挨拶の代りに
最後のチャンスは、流れる時の中で無残にも消えた。
《 何時もの駅の時計台9時。
…待っとる 》
たったそれだけのメール。
送信するのに、指が震えた。
来るやろか。
もし来ェへんかったら、その時は……
( 終わりや… )
口に出すのが怖くて、心の中で溜息と共に吐いた。
出逢った日の事も
過ごしてきた日々も
手の温もりも
唇の感触も
笑い声も
涙の味も
怒った時の癖も
全部、知っとる。
全部、俺の中で輝いて…
霞 ん で い く。
お前の
好きな言葉に
好きな物に
俺は入っとるやろか
嫌いな言葉に
嫌いな物に
俺がならなあかん様になったら。
どないな顔して、お前は空を見上げるんやろか。
切なくて、切なくて
泣き出しそうな空は暗くて
息が止まりそうや…
好きや、好きや。
この関係に終止符を打たなあかん時。
この空は
俺の心は
泣くんやろうか…
待ち合わせは9時。
時計の針が差す時間は、12時。
これが、答えやろ。
ああ、空が泣いた。
俺の頬に、涙が伝う
さようならも言わずに
答えだけが見つかった
別れの挨拶の代りに
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雨でサヨナラなんて、出来る訳ないやんな
(真子さんを泣かせたかっただけ)
11.08.07.09:43
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