無意識な嫉妬






気に入らねえ
気に入らねえ

気に入らねえ…



『ウルキオラ様、こちらにご用意出来ております』
「…分かった」
『それから、藍染様が二時間後に来てほしいと』
「…ああ、分かった」


白い廊下を歩く俺の目に止まったのは、石像みてえに無表情なウルキオラと、それとは対照的に優しく微笑む女の姿。
チッ…何だ、これ。
気に入らねえ…


淡々と喋るウルキオラ。
無駄に明るく、優しい声色。
破面No.46、なまえ。
あいつは…俺の従属官だ。

まァ、この前俺が無理矢理したんだけど…

自分の従属官が、他の十刃の元で他の十刃の雑用を熟している姿を見るのが癪なだけだ。
…じゃあ、何であいつを自分の従属官にしたんだ?




…分かんねえ




唯、ムカつく事に変わりねえ。
俺は靴音を響かせながら、二人に近寄った。


「よォ、ペット。
てめえこんな所で何してんだァ?」


威嚇する様に上から見下ろせば、ビクッと肩を揺らす。


「よせ、ノイトラ。
俺が頼んだ」
「あァ?何だ、珍しいなァ、おい。
お前が他のヤツ庇うなんてよ」


そう言って何も感じさせない瞳を覗き込めば、其処に俺が映る。
ああ、イライラする。


「なまえ…お前の主人は誰だァ?」
『ッも、勿論ノイトラ様ですッ』
「じゃあ何で他の十刃の雑用なんかやってんだよォ?」


華奢な肩を小刻みに震わせうだけのなまえ。
…別に、脅えさせたい訳じゃねえのに。



「…チッ…もう用事済んだんだったら、こいつ返してもらうぞ」
『え…きゃあ!?』


なまえの細い腰を掴んで担ぎ上げれば、驚いて身体を強張らせる。
自分の宮に帰ろうと、回れ右をした途端背中に投げられた感情の無い声。


「…俺となまえが一緒に居るのが、気に入らないみたいだな」


そう言われ、思わず振り返る。


「俺と一緒に居る所が嫌なのか?
それとも、相手がなまえだから嫌なのか?」


振り向いた先には、ガキみてえに不思議そうな表情を浮かべるウルキオラ。


「どちらにせよ、貴様がそんなに誰かに執着するのは珍しいからな。
気になっただけだ」


そう言い捨て、ウルキオラは踵を返して去って行く。


その後ろ姿に、俺は一言投げかけた。


「…気に入らねえよ。
悪いか」


カツン…と余韻を残してウルキオラの足音が止まる。


「…どっちも、な」


ウルキオラが振り返り、また何かを問いかけられる前に俺も歩き出した。

気付いた、たった今。
有ろうことか、ウルキオラの言葉で。



俺は…
どうやらなまえが好きらしい…
悪い冗談だ…








無意識な嫉妬
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だけど、気持ちを告げるにはまだ早い


(ていうか、お前重てェな)(Σな!)

11.08.06.20:08


 

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