帰り道。淀んだ空。雷鳴は轟くが雨はまだ降っていない。
天気悪いねぇ、と隣を歩く彼女が呟いた。手にはまだ使う必要のない傘が握られている。

「雨降りそうだな」
「そうだね、ぼちぼちかな」
「暗いし家まで送ってやろうか」
「別に子どもじゃないしいいよ」
「雷鳴ってるし、怖いだろ」
「別に女子は皆雷が怖いわけじゃないよ」
「でも俺が心配なんだよ、お前が安全に家に辿り着けるのか」
「純太は過保護だなぁ」

はは、と彼女はからから笑う。
会話の間にも遠くで数度雷が鳴ったが、彼女はそれに怯えた様子は一切見せなかった。雷神様におへそを取られるという迷信を教えられずに幼少期を過ごしたに違いない。
まぁ雷でぎゃあぎゃあ泣き喚くよりはいいか、と納得してみたが、怖がっている彼女を見たかったなぁという思いもある。

「てかさ」
「何だ?」
「私が心配っていうより、純太が私と長く一緒にいたいんでしょ?」

ふふ、図星でしょ。
そう言って彼女はまた笑う。そういうこと、何で恥ずかしげもなく言えるんだろうな。
確かに、心配なのは本当だけれど彼女と一緒にいたいのも事実。
何も恐れることなくその事実を言い当てる彼女に、俺もまた笑って肯定した。
怖がる彼女を見れるのは、きっとまだまだ、先だろう。

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