奇跡のクリスマス



「姫さん、ちょっとごめんよ〜」

『ん?…て、アレ?』



佐助さんが忍者っぽい印を結んだら、私の視界は真っ暗闇となった



『え、ちょ、何ですか!!?何も見えないですっ!!!』

「大丈夫、大丈夫!俺様の手を握っといて。風魔、左手よろしく」

「………」



右手に佐助さん、左手には小太郎くん。二人にエスコートされて私の部屋を出た。階段を降りて…居間へ?

立ち止まった瞬間には手を放される。そして…



「いくよ、姫さん!せーのっ」

『きゃあっ!!!』

「「「めりーくりすますっ!!!」」」

『………へ?』



佐助さんが指を鳴らせば私の目に光が戻った!

そして、みんなの声と共に視界に飛び込んできた料理や飾りはまさに



『く、りすます…?』

「ああ、Christmasだ雪子っ」

『うわ、!』



政宗さんが被せたのは赤いクリスマスの帽子だろうか。今度は政宗さんと片倉さんに導かれ、料理の側へ



『ま、まさか…政宗さんたちの手作りですか?』

「まぁな」

『すごい…クリスマス料理です!あ、ちっちゃいツリー!サンタも居る!』

「はしゃぐな、内容は豪華じゃねぇよ。いつもの材料と変わらないからな」

『それがすごいです!細工とか細かくて…綺麗だし、可愛いし…美味しそう!』

「ハハッ!やっぱりアンタはそこが一番重要か」

『一番重要なのは、これがみなさんの手作りってとこです!』



私に内緒で何かしてるのは感じていた…けど、まさかクリスマスパーティーの準備だったなんて

確かに彼らは器用だけど見ず知らずの文化だもの、苦労しただろう…



『ありがとう、ございます…この飾り付けも佐助さんたちですか?』

「いや、これは…」

「そろそろ雪子を返してもらうぞ!」

『うわっ!!?』



突然、腕を引っ張られたかと思えばそれは元親で

ニッと歯を見せて笑うから、ああ、飾りつけは彼らがしたんだって分かる



「まぁ、俺からの贈り物は後で部屋を見てくれ」

『う、うんっ』

「先にこっちだ!」

『あ…』



庭に出た瞬間、夜だというのにパッと光に包まれた…いや、眩しい眩しい



「毛利殿!光がキツすぎでござるっ」

「…我に加減せよと申すか」

「コレを照らすだけでいい!だいたい、眩しすぎると近所迷惑だっ!!」

「貴様の声の方が近所迷惑ぞ…ふん、仕方あるまい」

『………へ?』



小さくなった光は、大きな木のてっぺんを照らしていた

そう、まるでツリーの星のように


………………。



『………クリスマスツリー?』

「なんで疑問系なんだよ!間違いなくつりぃだろ」

『う、うん…』




…正直、不格好です

木ですら手作りみたいだけど、はりぼてのそれはお世辞にも綺麗とは言えなかった

飾り付けも…うん、すごい



「安心しろ、ちゃんと壊れねぇように修理はした」

『壊れないようにって…ん?元親が作ったんじゃないの?』

「俺は手伝っただけだ。俺が全部やれば早かったんだが…あいつらが許してくれなくて、な」

『あ……』



あいつら…ツリーの側に居る三人のことだ

不安そうに私を見る三成と、どやぁと嬉しそうな真田くん、そっぽを向いてツリーを照らす元就さん


…不器用なのに何を作ってるの?元親に手伝いを頼んでまで

表情は三人とも違うのに、揃って両手を背中に隠してる。ああ、もう、ちゃんと手当てはしたの?




『…、………』

「雪子…?」

『み、んな…大好きだぁぁぁっ!!!』

「うぉっ!!!?」



ただ言えるのは、みんな私のためにパーティーを開いてくれたんだ

すると、この不格好なクリスマスツリーも愛しく思えてきて。みんなが大好きで。とりあえず一番近くの元親に抱きついた



「ははっ!泣くな、泣かせるつもりで用意はしてねぇよ」

『う゛ぅ…!』

「長曾我部っ!!テメ、雪子に何してんだっ!?」

『みんな大好きです!順番にハグさせてください、じゃあまず三成おいでっ!!』

「なっ−…!!?そ、その、いや、私は…!」

「はいはーい!じゃあ俺様から…いてっ!!?」

「……………」

『あ、小太郎くんからだね?よし、おいで!』

「割り込みはズルでござる!次は某が…!」

「…………」

「おい、毛利。つりぃを照らすのはそのくらいにして、テメェも行ったらどうだ?」

「黙れ…!我は…」

『片倉さんと元就さんも来てください!ぎゅーってしますからっ』

「…だとよ」

「……………」




1224.


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