とにかく、先手必勝!


「時祢、なんでもいいからあいつを攻撃して!」
「はい」


時祢から翼が出現し、そこから鋭い刃のようなものが化け物目掛けて飛んでいく。しかしそいつは素早い動きで攻撃を避け、刃は地面に突き刺さった。


「時祢の攻撃があっさりと!?」
「この程度か貴様ら、いや…虫けら。菫様に報告するのが恐ろしいわ」
「なんだとこらー!」
「主、挑発に乗らないでください」
「の…乗ってないわよ!」
「乗りました」
「のの乗ってな…、ん?」


時祢と私が揉めているのを無視し、化け物は口から炎の塊を噴き出した。私達をすっぽり覆うくらい大きい…、って待った!


「危ない!危ない!不意打ち!」
「わかっています」


時祢は腰にさしている木刀で、以前と同じように攻撃を打ち返した。私から見て左側に飛ばされたそれは、あっという間に辺りを焼け野原にしてしまった。


「な、何あれ、あんなの受けたら間違いなくジ・エンド!」
「…あ。主、すみません、限界みたいです」
「は?」


わけのわからない事をほざく時祢を見ると、やつの足が透けてきているのに気付い…、どういうことよ!


「ちょ、何言ってんの、限界来るの早くない?さっき来たばかりでしょ!」
「…実はですね、戦う相手の力量、使った技等々によって俺の滞在時間が変わるんです」
「つまり私の力は弱いし、あいつはかなり強いと、そういうことか」
「あと俺の気分にも依ります」
「ふざけんなー!」


私は時祢に思いっきり殴りかかったけれど、やつの身体はすでに半透明の状態らしく見事に空振った。振り返り、時祢を睨み付ける。


「大丈夫!もっと強い式を召喚してめっためたにしましょう」
「そんな簡単に言うなよ!」
「次の段階の式は多分桐胡ってやつだと思いますよ」
「き?何て言った?もう一回!」
「主なら出来る!」


非情な下僕は素晴らしい笑顔のまま姿を消し、その代わりに地面に薄っぺらい紙がひらひらと落ちた。


「覚えてろ時祢ー!」


← |



[ top ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -