「蒸し暑いなー…」


梅雨の季節に入ったのかここ最近曇り空になる日が多くて、今私達の身体には滴が降り注いでいた。私は傘を持っていないため、戦国時代の人が使う笠を被り空を見上げた。

私達は北へ旅をしている。そちらのほうで怪奇現象が多発している、という噂を聞いたからだった。


「舞は雨が嫌いなのか?」
「別に嫌いじゃないけど…うっとうしいからわんちゃんは話しかけないでください」
「誰がわんちゃんだ、誰が!」
「はいはい、二人とも喧嘩しないで」
「おーい、そこの怪しい旅人さん達や」


いつもと同じように犬夜叉と私が言い争いをしてかごめちゃんが仲裁していると、田んぼの手入れをするおじいさんに話しかけられた。彼はゆっくりこちらに向かって歩いてくる。


「怪しい!?とうとう変質者扱いされてしまうなんて…、オワッタ」
「あはは…元気出して。ね?」
「お前さん達、このまま北へ行くと危ない。引き返したほうがええ」
「北のほうに何かあるのですか?」


地元の町民との会話は、主にかごめちゃんと弥勒様の仕事。その間犬夜叉と珊瑚ちゃんは会話を聞き、私はというと犬夜叉の背中をつつくことに専念する。


「やめろ舞!」
「なんで」
「イライラするんだよ!」
「減るもんじゃないからいいじゃん。逆に増えるよね、イライラが!」
「それがよくねぇ」


「北のほうでは最近妖怪が巫女狩りをしておって、次々と巫女さんが殺されている。普通の人間も巻き込まれてしまうそうじゃ」
「そうなんですか…」
「変ね。巫女さんだから、そう簡単には殺されたりしないんじゃないかしら…」


かごめちゃんを始め、私達は表情を曇らせた。巫女は邪悪なものを浄化するために存在している人でもあるのに。それほど凶悪な妖怪なのかな。


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