「ととと飛んだー!」


飛んでる。飛んでる。私、飛んでますよお母さん。すごいでしょ?
時祢が妖怪達を見据えて光ったかと思った途端、彼の背中に翼が現われた。その上に乗せられた私は洞窟を出て今じゃ空を飛んでいる。そしてお母さんに報告中です!心の中で!


「主、さっさと逃げますよ」
「え?倒さないの?」
「世の中、逃げるが勝ちです」
「なんで式神がそんな言葉知ってるのよ」
「賢いからです」
「あ、妖怪来た!」
「無視しないでくださいよ」
「いいから早く逃げよう!」


前方から妖怪たちが、生贄を逃がすな!と恐ろしい声で叫びながら襲いかかってきた。それを時祢はひらりとかわし、空高く舞った。


「来れるもんなら来てみろー!へっへーん」
「子供ですか貴女は!」


そんな事を言いつつ、上空から犬夜叉達を探す。その途中、私の頭に警鐘が鳴り響いた。逃げることに必死だったために忘れていた事、それに気付いた私は時祢に話しかける。


「時祢、待った!空を飛んだら危ないから着地して」
「了解でーす」
「早く!珊瑚ちゃん達がやられたように、下から狙い撃ち…っ」


そう言いかけた時、私達の下から光の弾が撃ち出された。よ…避けなきゃ!私と時祢の気持ちはそれだけに集中された。


「時祢!」
「わかっています」
「あ、ちょ、当たる当たる当たる当たる!危ない!!」
「落ち着いてください。…仕方ないな、面倒だけどあれを飛ばすか」
「え?」


そう言うと時祢は腰にさしている木刀を取り出した。何をするのかと思ったら、それで光の弾を遥か彼方へはじき飛ばしてしまった。


「う…うっそ!野球でいえばホームランだよあれ」
「あんな妖怪の攻撃…朝飯前です」
「すご!やっぱ私のレベルは10じゃなくて25かな!」


時祢の意外な能力に興奮しまくる。だけど安心する間なんてなくて、次々と光の弾は撃ち出された。


「ぎゃー!」
「やっぱり逃げましょう」


華麗に舞い美しくかわすその姿。思わず見とれてしまう。


「すご…い、私が!」
「…俺の事はあくまでも褒めないんですね」
「あっごめんごめん、すごいよ時祢。ご褒美に頭を撫でてあげよう。よしよし」
「何だろう、こんなに腹が立つのは久しぶりだ」


そんなことを話しながら私達は地にたどり着いた。ふぅ、と時祢は息を吐いた後大きな翼を消した。


← |



[ top ]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -