奈落とかいう奴のこと、皆が何故そいつを追っているのか。色々聞いた。でも「桔梗」って誰だ?


「裂唏ー!」


大きな声を出し、自分の式を呼び出す。だけどそんなに簡単にはいかないもので、何度やってもきちんとした裂唏を呼び出すことができなかった。
弱々しい狐、なんだか気持ち悪い狐、小さくて可愛い狐、そんなものしか出てこない。


「なんでだろ…経験値とか関係あるのかな?」


いや、でも菫さんに襲われた時にはきちんと呼び出せた。私は小さくて可愛らしい裂唏をしゃがんで見つめ、あれこれ試行錯誤していた。


「舞ちゃん」


呼ばれたので振り返ってみると、そこにはかごめちゃんの姿があった。彼女はいつものように優しく微笑む。


「ご飯の支度ができたから そろそろこっちにおいで?」
「うん、わかった」


私達は皆のいる山頂へ向かった。
…私はかごめちゃんに聞きにくいことがあった。それは、桔梗とは誰なのかということ。四魂の玉を守っていた巫女っていうことは聞いたけれど、皆とどういう関係なのかが謎。

なぜ聞きにくいのか…自分でもよくわからない。だけど「桔梗」という名が出た時になんだかかごめちゃんの表情が切なく見えて。


「…珊瑚ちゃんに聞いてみようかなー」
「何を?」


呟いたつもりだったが、隣りにいるかごめちゃんには聞こえてしまったみたいだ。しまった!


「な、なんでもないから気にしないで!」
「そう?ならいいけど…」
「かごめー!舞ー!腹が減ったぞー!早く来んかー!」
「あ、七宝ちゃんだ」


私達が話していると、山頂の方から七宝ちゃんが激しく左右に手を振りながら叫んできた。その後ろでは木陰でくつろぐ犬夜叉。そして七宝ちゃんの様子を微笑ましく見守る珊瑚ちゃんと弥勒様がいた。


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