「姉貴ー」
「…う…っさい」
「おいコラ姉貴、そろそろ起きないと遅刻す」
「やめてよして触らないで眠い!」
バキッ!
「何すんだよバカ姉!」


弟は蹴られた頭を抱えながらそう叫んだ。突然の私の奇怪な行動に、うっすら涙を浮かべているみたいだけど…ごめんね、眠たいのですよ本当に。こんなお姉ちゃんを許して。


「弟よ…私はあと一時間寝ます」
「いやいや、学校あるじゃん!もう七時半だって」
「…深夜四時まで宿題やってたから…私は神社の手伝いやら色々忙しいんじゃー!ってわけでおやすみ」


寝不足に堪えられず、私はベッドに倒れこむ。それを見た弟は眠らせまいと慌てて私の身体を揺さぶってきた。


「姉貴が起きないと俺が母さんに怒られる!起きろ!」
「あんっもうっどこ触ってんの?いくらお年頃だからって、お姉ちゃんに手を出すのはよくな…」
「腕引っ張っただけだろ。」
「…仕方ない、うるさいから起きるか。よいしょっと」


私は渋々起き上がり、頭をぽりぽり掻きながら階段を降りる。弟は盛大なため息を吐いてから、私の後にリビングへと向かった。






「ご乗車、ありがとうございます。××、××です」
「…ん、…?わー!おおお降りる降りる降ります!」


夢うつつだった私はバスの下車ボタンを連打し、慌てて階段を駆け降りた。動揺しすぎて転げ落ちそうにもなったけれどなんとか堪える。おー、危ない危ない!居眠りしたからちょっとすっきりできたなあ。

機嫌よく学校へ向かって歩いていると、ビルとビルの隙間から青白い光がもれているのが見えた。怪しげな、光。不思議に思い近寄ってみると、そこには蓋の無い小さな木箱が置いてあった。中から青白い光が溢れている。

…綺麗。光が強すぎて中が見えないなあ、何が入っているんだろう。好奇心からその木箱に近付いてみた。


「来たか…」
「な、なに?誰!?」


突然聞こえてきた誰かの声に慌て、辺りを見回す。だけど誰もいない。な、なんなの、気持ち悪い!まだ夢の中?確認のために頬をつねってみたらめちゃくちゃ痛かった。あ、現実だった。


「誰かいるの!?」
「お前に木箱が見えるか?」
「これ?…見える、けど」


不気味な声に恐怖を感じつつも返答した。やっぱり声の主は見当たらない。ここから逃げたほうがいいのかもしれない…。


「くくく…やっと見つけたぞ、菫の力を受け継ぐ子孫…」


菫?いやいや誰よ。私が子孫ってことは御先祖様?えーと、先代の名前は確か…。
誰なのかを思いだしている途中、木箱からあふれる青白い光が更に力強くなった。眩しすぎて私は目を細める。


「菫の生まれ変わり…お前をこちらの世界へ誘うぞ…」
「え」

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