「はあ…はあ…」


逃げたい…この世界から逃げたい!一心不乱に走り続けたけれど、木箱が見つからないために足を止めた。どうすればいいのかわからず、考えようとしても頭が真っ白になる。
すると突然、とてつもなく大きな生き物が行く手を阻んだ。状況を掴めず、呆然とそれを見上げる。


「な…、何?」
「オ!久々にうまそうな人間見ィつけたァ〜」
「食いてェな〜」
「じゃァお前は右半分な〜」
「わかったァ〜」


間延びした、気味の悪い声。見たことの無い恐ろしい牙。信じられないほど大きく醜い姿。こ、怖い!その時、ふとあの言葉を思い出した。
…妖怪―…殺される!

身の危険を感じ、妖怪と思われる奴等とは逆の方向へ逃げた。とにかく速く走って逃げなきゃ!


「あァ〜」
「逃げちゃったなァ〜」
「やむを得ないなァ〜鬼ごっこを楽しむかァ〜」


怖い…、やだ、こんな意味のわからない所で死にたくない!まだまだやりたい事たくさんあるんだから…!逃げなきゃ!


「待てよォ〜」
「痛っ!」


腕を掴まれ、私の体は宙に浮く。恐る恐る後ろを見ると、そこには不気味で巨大な顔があった。頑張って手足をじたばたさせるものの逃れられる気配はない。


「つ〜かま〜えた〜ッ」
「食おうぜェ〜」
「きもちわるい!いや…離せ!」
「離せって言われて離すバカはいないだろォ〜」


妖怪はにたりと笑い、大きく口を開けた。そして私を口元へ持っていく。もう駄目だ…!目をつむったその時、スカートのポケットから強い光が生じた。






なんだか身体があたたかいなと思い目を開けてみると、妖怪は見えなくなっていた。おまけに景色も何もない。真っ白な世界。


「舞…」
「…今度は誰、何?」


何者かの声が聞こえてきて少し驚いた。だけどこの声は木箱のとは違い、不気味さを感じない。この声に聞き覚えがある…、…?


「時は満ちた、目覚めよ…」
「ばっちり起きています」
「お前の力…式を操る力を」
「式?」
「…目覚めの力を与える、さあ、魔を滅せよ!」


To be continued.


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