私が鋼牙を押し返していると、遥か彼方から犬夜叉が全力疾走でこっちに来るのが見えた。
そして予想通り、ヤツは鋼牙に殴り掛かった。鋼牙は私を抱いたまま難無くその攻撃を避け、耳をほじりながら犬夜叉を見る。


「てめぇ、恋人同士の愛の語り合いを邪魔すんじゃねえ!」
「うるせーこの痩せ狼!誰と誰が恋人だクソが!!」
「しかも語り合いじゃないし、一方的に鋼牙が語ってただけだよ!」


照れんな照れんな、と鋼牙は私の頭を撫でた。犬夜叉は眉間にしわを寄せてその手を引きはがす。


「て、め、え、は、馴れ馴れしく触んなって言ってるのがわかんねぇのか」
「俺は触ってもいいんだよ」
「んなわけあるかバーカ!」
「うるせぇカス!」
「なんだとこの変態野郎!」
「誰が変態だボケ!」


……………。

このやり取り、前にも見たような気が…。しかも私の存在シカトか。

低レベルな口喧嘩をする二人に呆れて視線を逸らすと、遠く離れた場所から弥勒様が私を手招きしていることに気づいた。珊瑚ちゃんも一緒にいる。


「舞様、そんなのは放っておきましょう。かごめ様が食事の支度をして待っていますよ」
「…そうだね!」


喧嘩に夢中な犬と狼、私は小学生二人に気取られないよう静かに全速力で逃げた。
巻き込まれたらめんどくさくなるっていうのは、前にかごめちゃんに教えてもらったしね!わはは!

二人の元に無事着き、肩を並べて歩きはじめた。ふと右隣りの珊瑚ちゃんと目が合う。


「舞ちゃん、どんどん強くなっていくね」
「え…本当!?」
「うん、頑張っているのがすごく伝わってくるよ」


そう言って珊瑚ちゃんは、にこ、と優しく笑った。頑張っているのを認めてもらえるなんて…ううう嬉しい!私嬉しいよ!


「珊瑚ちゃん…っ!大好き!」
「ちょ…私も仲間に入れなさいと何百回言えばわかってくれるんですか!愛しています舞様!」


そう言って私たちの間に割り込もうとした弥勒様を、珊瑚ちゃんが裏拳で殴って阻止した。
わあ、鼻血出てるー


「さ、さん、ご…………」
「お前は入らんでいい」



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