かごめという女の子の発言に対し、私は若干呆れながらも逆に尋ねてみた。


「そんなの当たり前だよ…私が現代人じゃなかったら何だっていうの?」
「…あなたはどうやってここに来たのかしら」


冷静に質問してくる女の子。その真剣な表情を見て、私はとりあえずまじめに会話をすることにした。


「変な木箱から出ていた青白い光につつまれて…、…ここどこ!?」
「今さらかよ」
「うるさい」


私は原っぱで寝ていたらしく、頭を触ると芝のようなものがぱらぱらと落ちた。そこの周りには樹々が鬱蒼と茂っている、どうやらここは森の中みたい。…私って都会にいたよね?


「あのね…信じられないかもしれないけど、ここは戦国時代なの」
「…え?」


センゴクジダイ。
授業などでよく聞く単語。その時代に、今、自分が…?ありえない話のために思わず私は笑ってしまった。


「いや、ありえない!やっぱりこれは夢かな?ははは…」
「私も最初は信じたくなかったから気持ちはわかるわ」
「……。」
「あ、私の名前は日暮かごめよ」


彼女はそう言って手を出し、私に握手を求めた。なんだか怪しいこの子を信用できず、私はそれに応えられない。すると彼女は苦笑いをして、まあまだ怖いわよね…、と呟いた。


「それでこの人は犬夜叉。この戦国時代に住んでいるの」
「…この耳は?」
「あ…それは半妖だからよ。えーと、半妖っていうのは半分人間、半分妖怪で…」
「何それ?この世界って妖怪なんかいるの!?ありえない!」


信じられない、嘘だ、非現実的!妖怪という存在を肯定なんか出来ない。したくもない。やけにフレンドリーに接してくるこの少女…怪し過ぎる。
じりじりと彼らから距離を置く私を見て、女の子は若干眉をひそめつつも笑いかけてきた。…何の意図があるの?わからない。


「かごめ。こいつどうすんだ」
「…とりあえず、一緒にいたほうがいいわね。妖怪に襲われるかもしれないもの」
「よよよ妖怪ってそこらじゅうにいるの!?」
「ええ、だから一人でいたら危険よ」


さあ行きましょう、と言って再び手を出してきた女の子を受け入れられず、私の身体はがたがたと震え出した。


「戦国時代とか妖怪とか危険とか…急に言われたって…」
「おい、かごめ。こいつかなり混乱しまくっているぞ」
「…こんなの嘘だ!」
「あ、待って!」


二人から離れ、私は走り出した。あれを見つければ、私は帰れるかもしれない…!自分をこの世界へ運んだと思われる、あの怪しい木箱を探して私はあてもなく走った。


「待って、一人になったら…ちょっと犬夜叉、あの子追いかけて!」
「…仕方ねえな」


かごめに言われ、俺はわけのわからん女を追って走り出した。

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