「こらーーー!」
「ぐほぁっ」
「舞ちゃん、大丈夫?」
「う、うん、ありがとう」


私が困っていると、珊瑚ちゃんが小枝を弥勒様に投げて当てた。小枝といってもけっこう固くて痛そう…。
側に来てくれた珊瑚ちゃんに優しく手を握られ、少しほっとした。弥勒様みたいに強く迫られるとなかなか拒否できない。


「…法師様」
「な、なんだ珊瑚」
「何やってたのかな?」
「いやー少々舞様がお疲れのようだったから、息抜きにお話を…」
「…へえ〜?」


珊瑚ちゃんは私に背を向けているからどんな表情をしているか見えない。だけど声色や雰囲気、弥勒様の怯えようから、どれだけ怒っているかは容易にわかった。


「お話…ねぇ…」
「ま、待て珊瑚、話せばわかる!」
「何が、話せば、わかるよ!ふざけんな、こっの、スケベ!女の敵!アホ!」
「うっぐぁっ」


珊瑚ちゃんはそう叫びながら、片足で何度も弥勒様を踏みつぶしている。
嗚呼、弥勒様…、自業自得。


「…では舞様、修行を再開しましょう」
「はい」
「先程までの修行で、式神を召喚できるようになったかもしれません。一度試してみましょう」
「…はい」


ぼろぼろになった可哀相な弥勒様の言葉を聞き、私は式神を召喚してみた。


「隱窘鑿匳齔…時祢!」
「…やっと呼び出してくれましたか、主」
「ははは時祢ー!」
「抱きつかないでください」


まばゆい光の中から現れたのは、あの憎たらしい赤髪の式神時祢だった。彼はめんどくさそうに私を押し退けて頭を数回掻きむしった。


「弥勒様、ありがとうございます!やっと時祢を召喚できたよ」
「良かったですね」


ここまでの道のりは長かった…目覚めよと言われ、きちんと式神を召喚できたのは土壇場の時、しかも二回だけ。
私ったら、なんで今まで弥勒様に教わろうとしなかったんだろう…彼が変態大魔王だからかな?


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