…おっと、こんなわんちゃんに付き合っている暇はないんだ!料理を早く済ませちゃおう。


「ほお、今日は舞様が炊事当番なのですね」
「あらあら弥勒様ー、お手伝いをしてくださるのかしら?」


かごめちゃんから借りたお鍋などを用意する私に、弥勒様が話しかけてきた。そんな彼に私は冗談混じりで返答をする。…セクハラしようとするスケベ法師の手をつねりながら。もう慣れたよこの対処法は!


「いたたた…えー、誠に申し訳ないのですが今から珊瑚と共に修行をしに行くので…」
「そっか。んじゃ頑張ってきてね、美味しいご飯を作っておくから!」


私がそう言うと弥勒様は穏やかに笑い、うなずいた。すると退治屋の服を着て飛来骨を持つ珊瑚ちゃんがこちらにやってきて、弥勒様を思いっきり蹴飛ばした。…って、えぇええ!!


「ちょ、珊瑚ちゃん!?」
「法師様がちょっかい出しているのが見えて、ね。次からは舞ちゃんが蹴飛ばせばいいんだよ」
「え…あ、うん、わかった…」
「じゃ、ご飯作るの頑張ってね」
「珊瑚ちゃんも修行頑張って!いってらっしゃーい」


弥勒様の着物を引っ張り雲母に乗った珊瑚ちゃんは、山奥へと行ってしまった。弥勒様、雲母にきちんと乗られず宙ぶらりんな状態だったけど…大丈夫なのか?
珊瑚ちゃんって弥勒様に容赦ないなあ…見てておもしろいから別にいいけど!


私は再び調理道具を用意し始め、今日の昼食レシピを見た。この料理は…よし、魚を調達してみるか!


「……。」
「………。」
「…………。」
「…じろじろ見んな!」


木陰で眠る犬夜叉を、私はじーっと見つめる。何も言うことなく、じっと。…うん。犬夜叉、私はあんたに食料調達手伝ってほしいのよ、一人じゃ大変だから。


「ふーん…てめぇの言いたいことはなんとなくわかったぞ」
「本当!?さすが犬夜叉っ」


私達は心が通じているんだ!
以心伝心・ナイスコンビ!
私は嬉しさのあまり先程と同じスキップをしながら、犬夜叉の元へ駆け寄った。


「じゃあ手伝っ…」
「い、や、だ。」
「…は?」


今こいつなんつった?しかもニヤニヤ笑っているよこの犬っころ。あームカつくその顔腹立ちます。


「俺のこと散々バカにしやがって、都合よく手伝えだと?けっ、俺をなんだと思ってんだ!」


くそー、パシリだと思っているって言いたい…!だけどそんなこと口にしたら駄目だわ、絶対に犬夜叉の機嫌を損ねてしまう…!こうなったらべた褒め作戦決行だ!


「いいい犬夜叉はバカなんかじゃないよ、うん!」
「じゃあなんだよ」


えーっ、と…なんだろう?
変なことを言ったら駄目なんだけど、駄目なんだけど、…!!


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