「奈落ー、連れてきたぜ。こいつだろ?霊力がそこそこある巫女ってのは」
「は…離せ!」


風使い神楽は、少女の髪を掴んだまま奈落の元へ歩み寄っていく。彼女に連れて来られたその少女は、丘の上で瀕死状態だったためかごめが食料を分け与えた少女であった。


「…神楽か…早かったな」
「なあ、本当にこの女が必要なのかよ?あたしにはそうは見えないけどな」
「ああ、必要だ。そうだろう菫」
「だが…巫女のくせにこのような汚ならしい格好をするとはな。恥さらしが」


菫はそう言って少女の顔に平手打ちを食らわせた。ばしっ、という大きな音が鳴り、少女の頬は赤く腫れる。ぶたれた者は下から菫の瞳を睨んだが、直後不敵に笑ってみせた。


「巫女の恥さらしは貴女のほうでしょう。半妖なんかに手を貸すとは…我が師ながら汚らわしい人」


少女が言った瞬間菫の瞳は真っ赤に染まる。そして式神が姿を現し、少女の首を討ち飛ばした。神楽の足元には少女の首がごろりと転がった。


「あーあー…菫さんよ、短気すぎだろ。胴体の始末はどうせあたしがしなきゃいけないんだからさ」
「…すまぬ」


悪びれた様子もなく菫はそう言い、少女の首を松明の中に放る。すると火力は一層増して禍々しいオーラを発し始めた。


「あと五人ほど霊力を持つ者が必要だ。目的を果たすために、な」
「神楽、また狩ってこい」
「はいはい」


神楽は扇子で己の肩を二、三度叩いて髪飾りの羽根を取り出した。そして巨大化した羽根に乗り、城を後にした。


「舞…お前は仕上げとして殺す。それまでに霊力を上げておけ、私の生まれ変わりなのだから…」


含み笑いをし、彼女は水晶に映る舞の姿を撫でた。


To be continued.


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