「こう…がー…」
「待ってくれー…!」
「あ、なんか来た」
しばらくすると遥か遠くから、鋼牙と似たような身なりをした男二人と狼が複数走って来た。多分腰巻き鋼牙くんの仲間かな。
「やっと追い付いたか…んじゃ俺行くわ。またな、舞!」
「おー、またねー」
「あ!逃げんのか痩せ狼!」
「てめぇの相手をするほど暇じゃねーんだよ。くだばれバーカ!」
「うぜぇぇぇ!」
犬夜叉が攻撃しようとした瞬間、鋼牙はつむじ風と共に姿を消した。
「今度会ったら絶対殺してやる!」
「あっはっは、落ち着きなよ犬夜叉」
「…舞!」
「な、ななな何!?」
犬夜叉を落ち着かせようと背中を叩いた瞬間、怒っている彼に呼ばれ見つめられた。その剣幕はいつもと違って必死さを感じる。
「いいか、今度あの野郎に会ったら、逃げろ、無視しろ、喋るな、蹴飛ばせ!」
「なんでよ」
「理由なんてねぇ」
「蹴飛ばすのは駄目でしょー」
「あいつだからいいんだ」
「おいおい」
いつも通り反発しようとした私だったけれど、背後からかごめちゃんに肩を掴まれた。
「何よかごめちゃーん」
「犬夜叉の相手をしていたら一年が終わっちゃうわよ。あんなの無視して先に進みましょう」
彼女は私の背中を押して無理矢理旅を再開させた。…確かにかごめちゃんの言うことはもっともだなあ。そう思った私は、そのまま黙って歩き続けた。
「そもそもあの痩せ狼は気に喰わねーんだよ、自分勝手に首突っ込んだり迷惑かけやがって!殺そうとしたら逃げやがるし、言いたい放題言ったら逃げやがるし!うぜぇ殺してぇ目障りだあの痩せ狼…、って、てめぇら待ちやがれ!!」
足早に進む私達を、犬夜叉は怒りをむき出しにして追いかけた。
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