「舞ー!」
「あ、犬夜叉の声だ」


声の主の姿が見当たらず、私も大きな声で犬夜叉の名前を呼んでみた。


「おーい、ヘタレ犬ー!」
「誰がヘタレ犬だ!誰が!」
「わぁ犬夜叉久しぶりー」


犬夜叉に背後から頭を叩かれる。ナイスツッコミ!と言って私はウインクをした。…彼は吐きそうな表情を見せやがったけれど今回は見逃してあげよう。


「ところでそいつ、誰だよ」
「私の下僕です!」
「下僕ー?」
「…なんだか主の言い方、いちいちイラッときますね」
「えへ、ごめんね時祢」


紹介の仕方が鼻についたみたいだけれど、私は時祢の主人だから逆らわなかった。なんだか申し訳なくて一言謝る。そしてついでに彼の頭を撫でてあげると、適当に手を振り払われてしまった。


「つまり新しい式神か。まあその話は後だ、さっさと戻るぞ」
「へーい」






「見つけたぞォ!」
「ぎゃー!」
「来やがったか」


草むらから突如現れた妖怪。私を捕らえていたやつだ。逃げた私達を地道に追ってきたのだろう、私の鼓膜が破れそうな程そいつは大きな声で叫ぶ。
その声を聞き付けた妖怪達にあっという間に囲まれ、私達は逃げ場を無くしてしまった。


「俺はな…てめぇらに聞きてーことがある」
「ぁ゙あ?なんだよ」


犬夜叉はそいつらに怯む様子もなく、しかも質問を始めた。


「何故こいつを狙う?」
「フフ、その人間を差し出せば、四魂の玉が手に入るって言われてるのよ」
「何!?」


犬夜叉は四魂の玉、という言葉に過剰反応した。…この様子からすると、よっぽど見つけたいものなんだろうな。


「食えば不死になれるしなァ。その人間は、妖怪の間じゃ有名なんだよ!」
「えっ…」


その言葉に私は驚きを隠せず、頭を抱えてしゃがみ込む。そんな私を心配した犬夜叉が顔をのぞき込できた。


「有名人…私、有名人だってさお母さん。空飛んで、有名人になって、スゴいね!アイドルかな?私、アイドル?」
「…」


…心配した自分がバカだった。
この時犬夜叉は心からそう思ったと後に語った。


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