「オイお前ら。四魂の玉を持つ妖怪が住む城の場所、わかったぞ」
「本当かァ!?」
「早く行きましょう」


………。


「えぇぇぇ!!?!」
「なんだよォ」
「あっ!なんでもないです」


私を突き出す場所がわかった…ってことは私、どうなるの!?自分の身の危険を改めて感じ、私の心は恐怖で満たされた。妖怪達の不気味な笑みが目に焼き付く。
怖い、怖い、怖い、怖い、…。


「…ふん!」


私は自分の頬を平手打ちし、涙をじんわり浮かべつつも不敵に笑ってやった。そしてポケットの中をごそごそとまさぐる。


「こんなんじゃ駄目、いつまでもうじうじしない!怖くない!私ならイケるイケる…私は弱くないぞー戦えるぞーワッホーイ!」
「頭打ったのかァ?」


…妖怪にツッコミされちゃったけれど、悲しくなるからそれはスルーしよう!私は深呼吸をした後、ポケットから紙を取り出して構える。
すると初めて裂唏を召喚した時のように、新しい式神を呼ぶ言葉が頭に浮かんできた。


「隱窘鑿匳齔…時祢!」


大きな爆発音と共に、煙が漂う。その煙の中から姿を現したのは、…人間!?
以前自分が召喚した式神、裂唏とは全く違う赤髪の男の子。耳は鋭く尖って瞳は血のように深い紅の色。これも多分式神…なのかな。


「私、レベルアップしたかも…?今、多分レベル10くらい!」


自分の新たなる力に感動していた私。だけどそれは一瞬にして壊された。


「うっわ。この雰囲気からいくと、俺は勢いで呼び出されちゃったんだろうな…ほんと最悪」
「喋った!…ん、最悪だと?」
「式神が喋っちゃいけないわけ?おばさん」
「いや、別に喋っていいけど…って、おばさん!?」


思いもよらないおばさん呼ばわり!黙っていられない私は、怒りをむき出しにしてその式神に突っ掛かった。


「おばさんじゃなくて、おねえさんでしょ?」
「す…すみません主、少し遊び過ぎました」
「分かればいいのよ!」


着物の襟を掴んで拳を顎に何度もぶつけてやると、こいつはおとなしくなった。どうやら主人である私には逆らえないらしい。悪態はつくけれど!


「…もういいのかァ?」
「はい、ありがとうございました」


空気が読める妖怪達(KYY)は、私達の会話が終わるまで待ってくれていたようだ。すごいな。


「時祢!とりあえず…ハイドロポンプ攻撃をしなさい!なんとなく!」
「いや、無理です」
「な…何それ、主人の命令を拒否するのかアンタ!」
「意味不明な命令は聞けません」


未だにぐだぐだなやり取りを繰り広げる私達に、妖怪は苛ついてきたみたいだった。恐ろしいオーラを感じ、見てみると…あ、やっぱり怒りなさってる?


「てめーらァ!逃げるつもりならぶっ殺すぞ!」
「うわ…ほら時祢、早くしないとぶっ殺されちゃうってば」


急かすように肘でつつくと、やつはうっとうしそうにそれを払いのけて私の前に立った。


「…主。仲間達の元に戻りたいんですよね?」
「だからコイツら倒して」
「ではさがっていてください」


時祢はそう言い、妖怪達を見据えた。お!やっとかっこいい技が出てくるのか、どきどきしちゃう!


To be continued.


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