「どこだ、舞!」


全然見つからねぇ…あの野郎、どこに連れ去られやがったんだ!俺は舞の後を追っていたが、あいつの匂いが途絶えてしまい行き場を失っていた。


「くそっ…」


舞は何かと妖怪に狙われ、連れ去られている。あいつ自身が知らない秘密があるのか?…ちっ、考えてもわからねぇ!
頭の中にあるもやもやした思いを振り払うかのように、俺は走り始めた。


「舞…俺が行くまで無事でいてくれ!」







「うりゃああ!!!」
「おー人間のわりにすげぇなァ」


犬夜叉が探し回っている時、舞は妖怪達からの要求により側転やら逆立ちやら色々やりまくっていた。余興だなんだと言われ、拒否すると「食うぞ」の一言が返ってきたため、渋々芸を披露していた。


「くっそー、式神を出すタイミングが無いぞ…妖怪が多すぎる」
「もっとやれー食うぞー」
「合点承知!」








「大丈夫?」
「うん…なんとか」


傷の手当てをし、私は珊瑚ちゃんの身体を気遣う。彼女は思ったよりも怪我は酷くないけれど、雲母は攻撃された部分から血がとめどなく溢れていた。止血を施し、安静にさせる。


「私のことはどうでもいい…舞ちゃんが心配だ。どうやら式神をうまく扱えないらしい」
「やっぱりそうなんだ…」


先日奈落に捕らえられた時、舞ちゃんは式神を使えた、って言っていた。なぜ今はできないんだろう。もしかしたら…


「…犬夜叉の風の傷と同じなのかもしれないわね。初めて風の傷が使えた時、自分でもよくわからず本能的に発動しちゃったでしょう?」
「そうか。舞ちゃんも、咄嗟に使ったのかな」
「多分…」
「とにかく助けなきゃいけない」
「あ、珊瑚ちゃん!まだ動いたら駄目よ」


思ったより酷くないといっても、安静にしていたほうがいい。なのに飛来骨を杖の代わりにして歩こうとし始めた。慌てて彼女を止める。


「そもそもあたしが油断したのがいけなかったんだから」
「そんなことないわよ!それに怪我も悪化しちゃうから…」


責任感の強い珊瑚ちゃん。痛む身体を引きずって舞ちゃんを探すのを諦めようとしない。


「…待て、珊瑚」
「法師様?」


今まで口を出さずにじっと私達の様子を見ているだけだった弥勒様が、初めて言葉を発した。


「舞様は確かに心配だが…犬夜叉が後を追っている。少しは自分の身体を大事にしなさい」
「…舞ちゃんが心配なんだ」
「それは皆同じです。しかし珊瑚、お前は怪我を負っているではないか。そんな身体で助けられるのか?」
「…」


弥勒様の的確な台詞に珊瑚ちゃんは何も言い返せず、歩こうとするのをやっとやめた。


「珊瑚ちゃん…」
「わかったよ。犬夜叉が舞ちゃんを助けるのを待つ」


私達は犬夜叉の力を、舞ちゃんの無事を信じて願った。


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