「舞様、珊瑚、雲母ー!」
「いないっ…」
「こっちだ!珊瑚と雲母の匂いがする!」
俺が指さした方へかごめ達も向かっていく。匂いを辿ると、木の上に引っ掛かり運良く助かった珊瑚と雲母が見えた。急いで抱きかかえ木から降ろしてやると、珊瑚がうっすらと目を開いた。
「珊瑚ちゃん!」
「悪い、舞ちゃんを見失った…」
「気にすんな、俺が探す。お前らはさっきの場所で待ってろ!」
俺は唇を噛み、珊瑚達を置いて一人で走っていった。
「オイ、この人間よー…全っ然目覚めないなァ」
「力ずくで起こしてみませんこと?」
「起きろよバカ人間ー!」
「ぐは!…ん?ここは」
辺りを見回せば、妖怪、妖怪、妖怪。妖怪に取り囲まれている。そして殴られたのか頭が痛い。何てことするんだよ…。患部を摩りながらも私は珊瑚ちゃん達の事が気掛かりだった。
「この人間かァ」
「噂の…あれですわね」
「こんな奴がかよォ?」
「違えば喰ろうてやるわぃ」
「へ?」
い、今…喰うって…
「そうじゃなぁ…人間の女は脂が多くて旨いしの」
「俺は心臓喰うぞよ」
待てぇぇえい!喰う気満々じゃねぇか!しかも乙女に「脂が多い」とか禁句ですからァァァ!
…と、つっこんでみる。妖怪が怖いから勿論心の中でね!私がそんなことをしていたら、ある妖怪がこんな事を提案した。
「なあ…本当に喰ってしまおうか」
私の額からはだらだらと滝のように汗が流れる。式神を呼ぼうにも縄で縛られているから不可能。絶体絶命。
「そうじゃなァ…」
「ま、喰ってもわからぬだろう」
「我等だけで喰うか」
「この不死の人間を」
To be continued.
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