「いただきまーす!」
全員で輪になって座り、食卓を楽しむ。わーいおいしそう!これは私のものだ!行儀が悪いけれど私は食べ物を沢山頬張って、がつがつと食べる。
「おい七宝!てめぇ、俺の肉を盗みやがったな?!」
「オラ知らんぞ」
「てめぇしかいねーんだよ!」
「ひー離せ!」
犬夜叉は七宝ちゃんの両頬を左右に引っ張り、疑いの目で見る。そんな彼に対して精一杯七宝ちゃんは抵抗していた。まったく、仲良くしなよ二人とも。
「てめぇじゃなかったら誰が食ったって言うんだよ!」
「ごめん、私。ついおいしそうだったから食べちゃった!」
えへへ、と舌を出しながら嬉しさ全開でそう言った。頬に肉汁がベッタリとついているため、私は手元にある布巾でそれを拭う。
「てめ…!まだ自分の肉あるじゃねぇか、しかも大量に!」
「犬夜叉の肉がおいしそうに見えたから盗ってしまった。出来心だったんです!ごめんくさい」
「ふざけんな!」
犬夜叉は七宝ちゃんをそこらに投げ捨てて、こっちを睨み付けた。そして私の胸倉を掴み、ぎりぎりと首を絞めてきた。う、苦しい、ギブアップ!白いタオルを誰か投げてください!
「も…もう、やめ、ちっちゃいことは気にしないで!」
「ぼこぼこにされてぇのか?」
「そんなわけ…ぎゃ!」
私の背に突然何かが覆いかぶさってきた。ななな何?ベチャッてしてる、気持ち悪い、誰かー!軽くパニック状態に陥りひたすら手足をばたつかせていると、珊瑚ちゃんが私に声をかけた。
「舞ちゃん落ち着いて、私が追い払うから!」
彼女は側に置いてあった飛来骨を片手に、まとわりつく物体へふりかかった。ぎゃー!私も危ない!
「待って…くれ…」
「ん?」
た、助かった…!その物体が私から離れたため珊瑚ちゃんの動きは止まる。そいつは全身に藻をつけた少女だった。何故そんなものをつけているかわからないけれど、かなり弱っている。
「腹が…減っている。私に食べ物を恵んでくれない、か…?しばらく食べていな…、…」
「わ!」
その子は言葉を発した後、操り人形の糸が切れたかのように倒れてしまった。呼吸する音が弱々しくて危険な状態であることがわかる。
「大変だわ!とりあえずこれを飲んで?」
かごめちゃんは大慌てで、側にあったスープを少女の半開きの口へ流し込んだ。
「…ん」
「全部飲んで。ゆっくりでいいから」
「…すまない…」
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