「おら奈落、連れてきたぜ!」
どうやら城の最上階までやってきたようだ。女の人に投げ出された私は床に這いつくばった状態になり、鼻を強打した。何をするんだばかやろう!鼻血が出ていないかそっと触って確認する。
「くくく…よくやった、神楽。この女、まさか逃げるとはな」
不気味な声。恐る恐る声の主を見ると、そいつは高価そうな着物を身にまといその上にヒヒの皮を軽くかぶっていた。
「だ、誰?」
「我が名は奈落。舞、お前を利用するために呼び寄せたのだ」
「な…なん…だと!?」
「まあ、わしが直接呼び寄せたわけではないがな」
「さっさと私を現代に帰してよ!」
「くくく…用が済んだらな。菫」
「…軽々しく私の名を呼ぶな」
覚えのある名前を聞き振り向くと、襖にもたれて両手を組んだ美人な巫女が立っていた。そしてその人がこちらに来て、目の前でぴたりと止まる。
「おい。お前の力は目覚めたか?」
「なんでそれを…」
「質問に答えろ。力は目覚めたのかと私は聞いている」
「だ、誰が言うもんか!」
精一杯の虚勢。ここで負けたらなんだか駄目な気がした。
「ふん…試せばわかることだ」
「痛っ!」
突然菫という巫女に突き倒された。体勢を崩して仰向けの状態になる。ああもう、お尻が痛い!
「な、何を…」
「お前の力と私の力を合わせれば願いは叶うのだ。…だから早く目覚めろ」
To be continued.
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