「着きましたね」
かなりの道を歩き、東国の例の場所に到着した。城下町は多くの人がいて賑わい、活気がある。
「すごく賑やか!本当に死者続出中なのかな?」
「行ってみないとわかりませんね。では、さっそく城へ行ってみましょう」
城の門には門番らしい人物が一人立っていて、そいつに近付いてみると鋭く睨まれた。…敵だと思われているな、これは。とりあえず私はにこやかな表情で近寄ってみた。
「あのー、このお城で首を斬られた人が何度も発見されているって聞いたんですけど…」
「おそらく殺人鬼が紛れ込んでいるのだろう、調べている途中だ。わかったならさっさと立ち去れ」
部外者は関わるな、うっとうしい、とでも言うような門番の態度が気に食わない。それに、なんだかその説明の仕方に違和感もある。危機を全く感じていないような…。
「でも、首がどこにもないなんておかしいですよね?」
「犯罪者の考えていることはわからん。首だけを持ち去ることに目的があるかもしれぬ。ほら、さっさと帰れ」
「はい、わかりました」
「え?なんで引き下が…、もが!」
「おら、行くぞ舞」
「もががが!」
食い下がろうとする私の襟元を掴み、犬夜叉はそのまま引きずっていく。いたたたた!!じたばたと抵抗をしたけれど全く無駄だった。
「なんであそこで引き下がったのよ…」
宿屋。犬夜叉に引きずられたことが不満だった私は、弥勒様に噛み付いた。するとそれを見た珊瑚ちゃんが私の肩に軽く触れてから弥勒様との間に入り、微笑んだ。まるで子どもを宥めるように。
「あれでよかったんだよ。あの時無理に突入したらやりにくかったからね」
「え?」
「寝静まった頃に調べに行くんです」
「つまり犯罪…」
「違いますよ?」
「もしかしたら妖怪と関係なく、人間が殺人をしているだけなのかもしれない。ま、そんな奴はあたしがぶっ飛ばすけど」
珊瑚ちゃんは恐ろしい顔でそう言うと、私達から離れて飛来骨の手入れ始めた。何やら薬みたいなものも調合しようとしている。
「何にせよ、犯人捕まえて殴り飛ばせばいいんだろ」
「犬夜叉、お前は簡単に言い過ぎだぞ…」
「んじゃ私は今夜のために仮眠をとる!おやすみ!」
私達は侵入のために、それぞれ準備を始めた。ちなみに武器ゼロの私がするべきことは睡眠オンリー!布団を綺麗に敷いて私は目を閉じた。
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