楓さんの家に戻ると、かごめちゃんが朝食の支度をしていた。あたたかくて、すごくいい匂いがする。おいしそう!


「おはよう、舞ちゃん。早起きなのね」
「おはよう!いつもはこんな時間に起きていないよ。弟を困らせてばっかりで…」


そういえば皆、どうしているのかな。心配かけているかもしれない。…気になるけれど、考えてもどうしようもない。なんとか頑張って忘れることにした。


「ところで舞ちゃん。怪我…まだ痛む?」
「あ、ううん、なぜかもうあまり痛くないんだよねー」
「よかった。楓ばあちゃんの薬草はよく効くから、そのおかげかもね」
「そうなんだ…」


薬草で治しちゃうなんて、戦国時代の人はすごいな。自分の横腹に貼られている薬草を見て、溜め息が漏れた。


「舞の霊力のおかげもあるだろうがな」


後ろから楓さんの声。どうやらまた薬草を採ってきたみたいで、籠いっぱいの薬草を床に置いて彼女はゆっくりと腰を下ろした。


「ありがとうございます。おかげでだいぶ楽になりました」
「舞、ちょっと傷を見せてごらん。貼り替えた方がいいだろう」
「あ、はい」
「怪我はどれほど良くなったかな」


楓さんは私の着物をめくり、傷をのぞきこむ。すると彼女は、大きな声を出して後退りした。


「こ、これは…!」
「どうしたんですか!?」


楓さんが着物をまくり上げているから、それが邪魔になって自分の脇腹付近が見えない。でも、何よその反応!気になる!


「きゃー!何これ、舞ちゃんすごい…」
「かごめちゃんまで…私にも見せてよ!」


楓さんとかごめちゃんが真剣な顔で私を見つめてきた。…本当にどうしちゃったの?どきどきしながら傷口を見てみると、かごめちゃんや楓さんが驚いた理由がやっとわかった。


「すごい回復力だな私…」


昨日は皮下にある肉が丸見えになるほど皮膚がベロベロにめくれていた傷が、ほぼ治っている!…まだ赤黒いけれど。


「おそろしい回復力だ」
「舞ちゃんの先祖って、すごい霊力の持ち主だったんじゃないの?」
「うーん…」


両腕を組み、考えてみる。
爺ちゃんと婆ちゃんが自慢げに話していたのは覚えているけれど、話の内容は全く記憶に残っていないな…しっかり聞いておけば良かった。




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