これ以上心配をかけたくなくて、私は皆の元を離れて河原にたどり着いた。冷たい水を飲んでみたけれど全く状態は変わらない。耳鳴りに伴い頭痛まで始まり、自分の身体の異常に混乱してしまう。なんとか痛みを抑えようと思い堪えていると、含み笑いをする声が耳に入ってきた。


「ふ、ふふ…、ざまを見ろ」
「…誰…?」
「久しぶり、だな。頭が痛くて困っているのか?」
「菫さん…!あなたが…私…に何かしたの?」
「大した事はしていない」


木陰に立って話す菫さんは、相変わらず冷めた目で私を見ている。あ、やっぱりこの人怖い…身震いしてしまう。彼女はゆっくり私の方へ歩み寄り、さも嬉しそうににたりと笑った。


「先程の妖怪はそこそこ強かったのだが…よくここまで力を上げたな」
「あなたが…用意した妖怪なの?虫じゃ…なくて、美形にし…てほしかっ…た」
「…まだそのような事をほざく余力があるとは」


呆れたように溜め息をひとつ吐いて、菫さんは人差し指と中指を私へ向けた。それらの先には式神の札が挟まれている。これは…、以前奈落と言うやつの城でも見た光景。…やられる!戦わなきゃいけないと思っても、耳鳴りと頭痛のせいできちんとした体勢を保てない。


「舞、儀式の贄になれ」



To be continued..





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