危害が及ぶ前にかごめちゃん達のところへ駆け寄ると、彼女が指す先には巨大な繭のようなものが木にくっついていた。わあ…、私よりも大きい…気持ち悪すぎて鳥肌が立つ。そいつが地味にもぞもぞと動いているのを見て、私は小さく悲鳴をあげ後退りした。


「これ、何かしら?」
「うーん…そうだね…私の予想では美形な妖怪の蛹かと」
「それは舞様の願望でしょう」
「まあ妖怪っていうのは間違いねぇな。臭いがする」


犬夜叉は繭のようなものの側に立って、それを数回足で蹴った。ものすっごくぐらぐら揺れている。…今にも何かが生まれてきそうな気がするのは私だけ?なんとなく危機を感じ、更に距離を置いた。


「このまま放っておくべきなのかな…ねぇ、珊瑚ちゃんはどう思う?」
「ん…初めて見る妖怪だから、害があるかどうかわからないな。様子を見た方がいいかも」
「そんなの時間の無駄だろ。とっととやっちまおうぜー」
「ま、ま、待ちなさい!美形妖怪だったらどうするの?」
「舞、ちょっと黙っていろ」
「痛!」


犬夜叉に脳天を殴られ、目がちかちかした。こんにゃろうまたグーでやったな!犬夜叉の耳を思いっきり引っ張っていると、巨大な繭から不気味な音が聞こえてきた。かさかさ、かさかさ、と。再び私は後退りをした。


「ひぃぃぃ!どんなにかっこよくてもやっぱり虫は無理!」
「てめぇ…だから黙ってろっつってんだろ!」


犬夜叉が怒鳴ったと同時に、繭のようなものに亀裂が入った。何!?怖っ!私は近くにいた弥勒様の背後に慌てて隠れた。そしてこっそり様子を伺うと、その中から触角のようなものが出ているのが見えた。うあああ気持ち悪い!…ん?ぎゃああお尻を揉まれた!渾身の力を振り絞ってド変態を殴っておいた。


「舞様…最高の感触でした」
「うるさい変態!この!この!」
「何やってんだよお前ら…」
「犬夜叉、お願い、なんとかして!ああいうの駄目なの!」
「は?虫ぐらい大丈夫だろ、舞みたいな奴なら」
「どういう意味よそれ!」


私が怒鳴ったと同時に、今度は凄まじい音を立てて繭のようなものが吹き飛んだ。……。そっと上を向くと、巨大な蟷螂が私をじっと見つめているのが目に入った。うん…、逃げるが勝ち、っていう言葉は今の私にぴったりかな?

|



[ top ]
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -