「舞ちゃん…私の悔しい思いを晴らして!」
「うん、わかったよ…!じゃあ次、お願いします」


そう言って役員の人に籠を置いてもらい、ゆらゆらと天秤が動くのを見守る。あ、すごくいい勝負!どうしよう勝ったら何の薩摩芋料理を食べようかな!?


しばらくして天秤の動きが止まり、役員の人が真剣に傾きをチェックする。そして彼は一呼吸置いて小さな声で「残念ですが…」と私に結果を伝えた。ま…ま、負けた…!王子、敗北!?


「だーっはははは!舞、惜しかったな!わはははは!」
「ちょ、犬夜叉、そんなに笑うことないでしょ!?棄権したくせに!」
「ばーか、その籠は俺のだ!」
「………は?」


犬夜叉は腹を抱えて笑いながら、天秤にかけてある籠を指した。ど、どういうこと??


「普段てめぇが俺のことを馬鹿にしやがるから、負かしてやろうと思ってな」
「な…なん…だと…?」


あの後、芋掘りに夢中な私が気づかない場所でこのやろーはスイートポテトたちをざくざく掘り返していたらしい。嗅覚と体力が凄まじくておまけに野性の勘が鋭い犬夜叉なら、あの短時間でこれだけ獲得するのは可能かもしれないけど…。うっわ、すごくむかつく、うっわ、あっかんべーするなよ、うっわ!


「人には『変なところで頑張りすぎ』って言っといて、あんたこそなんなの!?」
「俺は別に頑張ってねぇぞ。ちょっとやる気出したらあれだけ掘れた」
「は、腹立つ…自慢か!」
「ざまあみろオウジ!」


犬夜叉に殴りかかろうとしたけれど、芋掘りを頑張りすぎたせいでそんな体力は残ってない。うう、悔しい…。







参加者全員の籠を量った結果、犬夜叉が優勝してしまった。信じられない…。表彰式のようなものが行われ、主催者の人が犬夜叉にお辞儀をした。


「おめでとうございます犬夜叉さん、こんなに掘ってくださったお礼に芋を差し上げます」
「いらねぇ」
「…え、いいんですか?」
「ああ。他の奴らに配るなり、てめぇらで食べるなり好きにしろ」


犬夜叉は主催者の人にそう言うと、今日泊まる宿へ行ってしまった。そのため犬夜叉が掘った芋は参加者に配られることになり、皆が喜んでいた。か、かっこいいことしやがって…犬夜叉のやつ!


「お芋をもらえてよかった!」
「実家に持って帰れるほどの数がないことは残念だけどね…」
「まだ言うか!」
「えへへ…宿にお願いして、この芋で何か作ってもらいましょう」




夜。宿の人が快く引き受けてくれたから、私たちはおいしい薩摩芋料理を食べることができた。犬夜叉、センキュー!感謝の気持ちを込めて頭を撫でたら、やっぱりグーで殴られました。




…そして次の日の朝。私は凄まじい筋肉痛に悩まされて犬夜叉に馬鹿笑いされた。ちくしょ…う…覚えてやがれ!




To be continued..


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