カーンカーンカーン!

鐘の音が鳴り、「そこまでー!」と男の人が叫んだ。参加者達の手は止まり、ため息が所々から聞こえてくる。私もそのうちの一人で、疲労のあまり座り込んでしまった。


「うあー疲れた…、これだけ掘れば優勝を狙えるはずだな!」


額から流れる汗を拭いながら籠を背負う。歩き始めようとすると、隣りにかごめちゃんがやってきて私に笑顔を見せた。


「舞ちゃん、お疲れさま!たくさん掘れたみたいね」
「お疲れー。あ!かごめちゃんもすごいね…もしかしたら優勝じゃない?」
「ふふ、そのつもりよ」
「なぬ!?い、芋掘り姫が彗星の如く現れた…!」


自信満々なかごめちゃんを見て私はついよろめいてしまった。まさかこんな身近に強敵がいるとは思わなかった…。

そんなやり取りをしつつ弥勒様、珊瑚ちゃん、七宝ちゃんと合流し、一緒に受付場所に向かう。靴下を引っ張られたから下を見ると、自慢げに籠を見せる七宝ちゃんがいた。


「舞!オラも頑張って芋を掘ったぞ、見ろ見ろっ」
「お、七宝ちゃんすごいねー!特別賞とかもらえないのかな?」


頭を撫でてあげると、七宝ちゃんは嬉しそうに笑った。な、なんだ、すごくほっこりするぞ!子どもってかわいいなぁと思いながら歩いていると、犬夜叉がのたりのたりとこっちにやって来た。しかもあくびしているし。


「棄権者犬夜叉くん、よく眠れた?」
「…おー、久々にゆっくり寝たぜ。たくさん掘れたみてぇだな、芋掘りオウジ」
「まあね!かごめちゃんに負けそうだけどね!」
「…お前ら、変なところで頑張りすぎだろ…」


なぜかうなだれる犬夜叉を放置しておいて、私達は受付に籠を渡した。重さで勝敗を決めるらしく、そこには天秤のようなものが置いてあった。自分の前に量った人よりも重ければいい、という勝ち抜き戦みたい。


「あたし達の前に量った人、かなりの芋を掘ったね…」
「私と珊瑚、七宝は勝てないでしょうから、舞様とかごめ様が計量してみてください」


そう言って弥勒様達は受付の人に辞退を申し出た。私とかごめちゃんは顔を合わせ、ごく、と喉を鳴らした。


「かごめちゃん、先にどうぞ」
「そう?じゃあ…すみません、よろしくお願いします」


そう言って役員の人に籠を置いてもらい、かごめちゃんはじっと天秤を見つめる。ど、どっちなんだろう?見た目ではあまり変わらないけれど…。

しばらくして天秤の動きが止まった。よく見ると、かごめちゃんの籠のほうが上がっている。うああ…芋掘り姫、惜しかった…!


|



[ top ]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -