「なんだこれは!?」
さっきの女の子を追いかけてきた犬夜叉は、彼女を取り巻く大きな光に唖然としていた。神々しく、近寄ったら消されてしまいそうな強い光。あんなの初めて見る。ぜえぜえ言いながらも私は犬夜叉に駆け寄った。
「あれ何?」
「わからねぇ。女が妖怪に食われそうになった時、あの強い光が出」
「ちょっと、なんで食べられそうになる前に助けなかったのよ、バカ!」
「ば…馬鹿だと!?」
私はつい犬夜叉に怒鳴りつけてしまった。現代の女の子が妖怪に太刀打ち出来るわけないのに!
「あいつ、一瞬消えたんだよ」
「犬夜叉と話している場合じゃなかったわ、あの子を助けないと!」
「話を聞け!」
「ぐァァあああ!!」
犬夜叉を無視して光る方を見ると同時に、妖怪が鋭利な何かによって切り裂かれた。そいつらが倒れたために砂埃が舞う。その中で一人、さっきの女の子が立っているのが見えた。私は一瞬言葉を失ったけれど、我に返って女の子の元へ走っていった。
「大丈夫!?」
「…だ、大丈夫だけど…」
かごめという女の子が私の服についた砂を払いながら心配そうに見つめてきた。こ、この子、優しい…。それに対してありがとう、と言ってから思い返してみる。
…さっきのはなんだったんだろう。時が満ちたやらなんやら聞こえたけれど…誰よ。
「これはあなたがやったの?」
「ん?」
「後ろのあいつらを倒した?」
「え、…ぎゃー!」
女の子に言われて振り向くと、真っ二つに切り裂かれた妖怪の死体が転がっていた。あまりの気持ち悪さに、そいつらから目をそらす。
「私がこんなことできるわけ…それに吐き気が…おえ」
「おい、見てみろ」
私の目の前にはいつの間にか犬耳の男の子が立っていた。手には紙きれを持っている。
「何?」
「これは式神だな」
「…死神?」
「し き が み だ」
耳元で声の大きさを上げて話してくる男の子に、私はしかめっ面を返した。そして聞き馴染みのある単語について思い出す。
「そういえば、うちの神社の先祖が式神で魔を滅していたって婆ちゃんが言っていたなあ」
「じゃ、お前がこの式神を使って妖怪を倒したんだろ」
「ありえない。修行を積んだことないんだから」
「私も同じよ」
「どういう意味?」
女の子の意味不明な発言に、私は聞き返した。
「私も、修行なんてしていないけれど弓矢で妖怪退治出来たの」
「す、すごい…、何者?」
「巫女の生まれ変わりだからみたい。あなたもそうじゃないかしら?」
「生まれ変わり?…あ!」
「なんだよ」
私が突然大きな声を出したからか、犬耳の男の子はわずかに驚いた。そんな彼は気にしないで話を続ける。
「こっちに連れてこられる前に、声を聞いたの!」
「声?」
「私が誰かの生まれ変わりで…ついに見つけた、みたいな」
「お前の説明わかりにくいぞ」
「うるさい」
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