「俺のでよければ貸すぜ〜?」
「あっ、スケベ仲間の霧骨が白い布を片手に立ち上がりました!なんでしょうかあの布は?」


下着だよかごめちゃん!あんまり見ないほうがいいよ、あ、双眼鏡なんか使って見ちゃ駄目!


「おぉ、助かる!ありがとうございま…、ゔ!」
「あーっと!赤組スケベ法師が霧骨の白い布を手に取った瞬間倒れました!気を失っているのでしょうか?」
「最近洗っていなかったからなぁ…げへへ、ちょっと臭ったか」


頭をガシガシと掻き、霧骨は頬を染めながら照れ笑いをした。


「ふざっけんな霧骨ぅぅぅ!てめぇ後でぶん殴ってやるからな!」
「お、大兄貴?!」


弥勒様を待っていた赤組の走者、蛮骨は今にも殴りかかりそうなほど怒っている。本当に最悪だよ、霧骨…。
一方白組は審判からオーケーをもらったらしく、次の走者の鋼牙にタスキが渡された。


「はっはっは!この運動会で優勝したら…佳代、俺の嫁になれよ!」
「えぇぇぇぇ」
「鋼牙くんからの熱いアプローチ攻撃です!佳代ちゃんは何て返事するのでしょうか!?」
「弥勒様がんばれー」
「な、なんと、シカトです!完全にスルー!無視しました!」


かごめちゃん、そんな実況いりません。


「げほっごほっ…あ、あとは…任せまし、た…」
「弥勒様!」


審判にオーケーをもらってタスキを蛮骨に渡した後、弥勒様はその場に倒れ込んでしまった。心配になった私が駆け寄ると、


「…ん?」
「ほあああ佳代様…ハァハァ」
「どこ触ってんのぉぉお!」
バシバシバシバシ!
「おっと!佳代ちゃんの往復ビンタ、効果は抜群だわ!」
「ポケモンかよ」


煉骨がかごめちゃんにツッコミを入れた直後、運動場の中心では乱闘が始まった。
うわ…蛮竜振り回しちゃっているよ。鋼牙は鋼牙でつむじ風発生させまくりだよ。


「くたばれ鋼牙ぁぁぁ」
「てめぇがくたばれ蛮骨ぅぅぅ」


早く借り物競争を始めろ!
そう思う私だったけど、つっこむ隙もないから言えなかった。あー、この運動会早く終わらせたい…。


「この紙、もらったぁぁ」
「っ、鋼牙がそっちなら俺はこれだ!」


どれでもいいよ蛮骨。
蛮骨と鋼牙は無駄な台詞を言ったあと、高くジャンプをして無駄に華麗なポーズをキメて紙を取った。そしてそれを乱暴に開き、二人とも言葉を失う。


「乱闘を繰り広げていた痩せ狼と怪力馬鹿が、紙を見た途端動かなくなりました!一体どうしたのでしょうか?」


かごめちゃんの毒舌はあえてスルーしといて…、二人ともどうしたんだろう?さっきの弥勒様みたいな無茶苦茶な借り物なのかな。




「読めねぇ…」
「おい睡骨!俺のやつには暗号が書いてあるぞ、卑怯だ!」


しまったー!馬鹿は文字が読めないんだった、すっかり忘れてた!それは暗号じゃないのよ、蛮骨…。
二人は紙と睨めっこをしたまま動こうとしない。


「蛮骨ー!こっち来て、読んであげるからっ」
「さすが佳代、頼む!」


足が速い蛮骨は、私が呼び掛けるとすぐにこちらにたどり着いた。どれどれ?
…………。


「水筒」
「…すいとう?」
「うん、水筒借りてきて」
「わかった」


ベタ…!
借り物が水筒だなんて、普通の運動会みたいで信じられない…。


「蛮骨選手、観客席の奈落から水筒を借りたあとに審判の元へダッシュです!犬夜叉チームが逆転していますっ」


しかもなんで奈落いるわけ?
そしてなんで水筒貸しているの?


「四魂のカケラを渡しやがれぇぇぇぇ!!」
「一方鋼牙選手は観客席の凶骨と格闘しています!どうやら四魂のカケラが借り物のようですね」
「水筒と四魂のカケラ、難易度の差が激しすぎるよね!?」


その場にいる人々が鋼牙達に釘付けになっている間に、蛮骨は審判からオーケーをもらいこちらに走ってきた。


「よし、佳代!俺の魂を受け取れ!」
「はいはいお疲れありがとーう」
「…てめぇ冷めてるよなぁ」
「うるさい」


鋼牙が凶骨と闘っている間に私は借り物を終わらせてしまおう…。さっさと借り物が書いてある紙を手に取り開いてみると、そこにはなんと。あなたの愛する人、と書いてあった。
…………。
主催者出てこいや!

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