「あ、赤組のスケベ法師様が白組の珊瑚ちゃんよりも先に観客席へ行きました!」
「どなたか下着を貸してくださいぃぃぃ!残念なことに、男性の方限定です!」


弥勒様は、白い紙を手に持ち大声で観客席に呼び掛けた。ちょ、残念なことにって…アナタどんだけ変態なんですか?
とりあえず、借り物は男の下着なんだね…うん、あんな声を出した理由はなんとなくわかったよ。ドンマイスケベ。


「ポテチを持っている人は飛来骨の餌食になる前にあたしに渡しな!」


弥勒様に遅れて珊瑚ちゃんも同じようにそう叫んだ。
借り物はポテチか…あ!珊瑚ちゃん、物騒だから飛来骨を構えるのはやめてね!だけど運動会の日にポテチを持ってくる人なんているのかなぁ…定番はやっぱ水筒でしょ。


「あたし持ってるぜ。仕方ねぇから貸してやるよ」


あれは…神楽姐さん!?
神楽姐さんが観客席からポテチを片手に立ち上がった。なんであなたはポテチを持っているんですか!しかも季節限定梅味!き、気になる…。


「法師様、この勝負はあたしが勝たせてもらうよ!」
「くっ…珊瑚を妨害しようにも、力の差がありすぎて不可能ですな…」


弥勒様は悔しそうにそう言い、再び借り物を探しに走り始めた。なんだかその背中を見て切なくなった。


「白組珊瑚ちゃんがポテチを手に審判の元へ走り出しました。一方赤組は苦戦中!どうやら貸してくれる人がいないらしいわね」


そんなものを貸せる人がいるなんて、よっぽどの無神経又は変態に違いないよ。
そんなことを思っていたけれど、弥勒様の他に変態がいることをすっかり忘れていました。

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