「さあ、今のところ得点は両者五分五分!どちらが勝つのかは次の種目が大きく関係してくるかもしれないわ…頑張ってね!」


かごめちゃんの声が、スピーカーを通して運動場全体に響き渡る。五分五分か…よし頑張ろ!


「あ、佳代ちゃん」
「さささ珊瑚ちゃん!」


小さくガッツポーズをする私の後ろには、白いハチマキを額に巻く、男前な珊瑚ちゃんが立っていた。先程殺気立っていた彼女の姿を思い出し、ついびくびくしてしまう。


「? どうしたの?」
「なんでもないよ!うん!」
「それならいいけど…佳代ちゃんは初参加だよね。ま、気楽に頑張ればいいからね」
「う…ん。頑張る、よ」


気楽に…。珊瑚ちゃん、さっきまで妖怪達を薙ぎ倒しまくっていたアナタが言える台詞ではないよ…!マジデ怖イ!
白組の席へ歩いていく珊瑚ちゃんの後ろ姿を見ながら、私はそう思った。





「続いては種目番号十二…借り物競争です。選手入場ー!」


司会者かごめちゃんの声を合図に、赤組・白組両代表者が規則正しく行進で入場した。
あー緊張する、初参加だもんなー、大丈夫かなー…


「佳代…貴様が犬夜叉の仲間とはな。次回は私の組に入れ」
「殺生丸様…悪いけど、来年私は参加しませんので」


隣りに立つ殺生丸様は、相変わらず勇ましくて神々しいオーラを発している。それに押しつぶされそうだったけど、頑張って自分の思いを伝えておいた。


「それは無理だぜ、佳代。次回の運動会で、お前は俺と二人三脚に参加しなきゃいけねぇんだからよ!」
「こ、鋼牙…何故二人三脚?そして絶対参加しません」
「まあ次回参加するために、この借り物競争で死ぬなよ!じゃあな」


…そうか、忘れていた。この運動会にはスポーツマンシップなんか無いんだった。
重要なことを思い出した私はなんだか一気に疲れて、必要以上に肩の力が抜けてしまった。


「ではルールを説明します!この借り物競争はリレー方式で行うので、各チーム一人ずつ、紙に書かれている物を借りてきてもらいます!
そして審判の睡骨に判定してもらってから次の走者にタスキを渡し、その人も同じように指定されたものを借りてきてください。先にアンカーがゴールしたチームが勝ちです!」


かごめちゃんの説明を聞き終わり、私は少し安心した。普通の借り物競争とルールが同じなら大丈夫なはず。スポーツマンシップが無いだけだ!…いや、それが一番重要なんだけど。転ばないように、おまじないでもやっておこうかな。


「へっへっへっ…佳代!」
「なななな何よ犬夜叉」


手の平に“人”と書いている途中、我がチーム大将の犬夜叉が声をかけてきた。うーん、心なしかちょっと気持ち悪い。


「絶っっ対に足引っ張るなよ!」
「…初出場の私にプレッシャーかけるのかお前はぁぁぁ!」
「痛っ」


…ヤツの頭を回し蹴りしたら、なんだか吹っ切れた。犬夜叉の頭から血が出ているけど、まあ半妖だから大丈夫でしょ!




私達赤組は、弥勒様、蛮骨、私、犬夜叉の順に走る!対する白組は、珊瑚ちゃん、鋼牙、煉骨、殺生丸様の順に走るみたい。…頑張ろ。


「位置についてー、よーい、」


パァン!
審判、睡骨の鳴らすピストルの音とともに、弥勒様と珊瑚ちゃんは走り出した。頑張れスケベ!


「走者の二人は同じくらいの速さです!おぉっと、ここで借り物の書かれる紙を両者手に取りましたぁぁ!」


かごめちゃんの解説、やけにチカラが入っているな…しかも若干口調がいつもと違うような…。違和感を覚えつつも、弥勒様を応援!応援!


「なんですとォォォぉぉぉぉえ」
「弥勒様、驚愕の声をあげています!指定された物が無理難題なモノだったのかしら?」


…どうしたんだろう?弥勒様があんな声を出すなんて、スケベな事以外無いと思うんだけど。
観客やチームのメンバー全員の視線が 弥勒様のほうに集中する。

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