しあわせふたりぶん | ナノ
明日から5月最大最高の長期休暇。

なんと今年はずっと豪炎寺と一緒なのだ。
最初にお邪魔するのは俺。
憎き平日をまたいだら豪炎寺が俺の家に。

「風丸?なんだか気分が良さそうだな」
「まあな」

フンフンと鼻歌を歌いつつ帰る支度をする。
例え休みでも部活はあるけれど、その部活すら豪炎寺と一緒。
気分が良くならないわけがない。
でもこんなことを豪炎寺にいった日には大変なことになるので秘密だ。
ただ豪炎寺もなんとなく感じ取っているようで、深く言及せずに着替え始めた。

先に着替え終わっていた俺はすることも無いのでタイヤに腰かけた。このタイヤ密かに気に入っているんだ。

部室は他の部員達の声でとても騒がしい。
その賑やかな中でもつい見てしまうのはやっぱり愛しい恋人だった。
ユニホームの上を脱いだまま汗を拭っている姿がどうしようもなくかっこいいんだ。
夕香ちゃんにもらったペンダントが一層色気を引き立てていて、
やっぱりというか俺は目を離せなかった。

すると豪炎寺がふとこちらを見た。
ビクッと肩が揺れてしまったがそのまま豪炎寺を見つめる。
豪炎寺はニヤリときれいに笑って悪戯っぽい声で言った。

「見とれるくらいかっこいいか?」
「はぁっ!?」

(図星だったが)思わず反論しようと立ち上がったら円堂がをからかうかのようにこちらへ来た。

「だって風丸は豪炎寺大好きだもんな〜!」
「なっ」

恐らく真っ赤な顔をしているだろう俺を半田やマックスもからかい出す。

「ああもう!好きだよ好き!!悪いか!」

俺がやけくそになって言うと
マックスがヒューヒューなんて言い出すし円堂が豪炎寺をからかいに行くしで大変だった。


帰り道。
やっと二人きりだなあとさっきとは打って変わって静かな道を二人で歩く。
豪炎寺も同じことを考えていたようで、「静かだな」と溢した。

「そうだな」
「でも」
「ん?」
「風丸と一緒ならどこでも幸せだな」
「ごっ…」

いつも通りの声でぽつ、と呟いた豪炎寺の一言に、やっと引いていた顔の熱がみるみる上がる。
追い討ちをかけるように豪炎寺が言う。

「俺も好きだよ」
「ん…」
「さっきの、嬉しかった」

さっきの、とは恐らく部室でのやけくその一言だろうか。
ちゃっかり覚えられていてこれまた恥ずかしくなる。


「…これからもずっと一緒だから」「うん」
「ずっと幸せだ」
「うん」

俯いた俺の顎に手を当て、優しく上を向かされる。
ああもう、絶対に今は顔をあげたくなかったのに。
真っ赤であろう頬を両手で挟まれて、触れるだけ、一瞬。
ほうっとしている俺に豪炎寺は「続きは家に帰ったら」なんてまるで一緒にすんでいるような言い方をして歩き出した。

慌てて隣に追い付いて、されっぱなしもカッコ悪いので思いっきり手を握ってやった。



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7万打ありがとうございました。
まるで更新できていないのにすみません…
GW過ぎてる上にGWあんまり関係ないですが。

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