四百四病の外・L | ナノ

○月×日 

明日から地球の侵略を開始する。
皆少しは緊張している事を願う。
あむはエイリア星の外に出るのは初めてらしい。
色々な物を見せてやりたいものだ。
そういえば、あむは上下関係を気にしていた。
これからはいつもの様に呼び捨てではなく様付け、で行くらしい。
少し寂しいのは気のせいだろうか。


○月△日 晴天


今日、地球に着いた。
あむは「大気圏」を通る時からずっと窓にへばりついたままだった。
よほど「外」が珍しいのだろう。
とにかく目的を果たす事にした。
最初の目的は一番近くにあった木戸川清修という学校に決めた。
あまりの弱さに思わず笑みがこぼれてしまった。
あむはとても退屈そうだった。
あむは弱い奴の相手よりも目を輝かせて外を見ているほうがいい。
早く任務を終わらせて色々な物を見せてやろう。
さて、今から雷門中学校という学校へ行くことにしよう。
少しは私もあむも楽しみたい。


○月□日 雨後晴れ


雷門中はサッカーの大会で優勝していると聞いたのだが。
あむに欠伸をさせるような弱小だったとは。
地球にはこんな言葉がある。
「弱い犬ほどよく吠える」全くだ。
いつか我々を倒すだと?笑わせる。
今日はあむを海に連れて行った。パンドラが勧めてくれたのだ。
最近妙に私とあむに優しいな。珍しい。
地球が青く見えるのはこの海があるからだ、と言うと
あむはそれに触れ、目を見開いて大急ぎで戻ってきたかと思うと私に抱きついた。
海というものを知らなかったらしい。
私の腰に回されている腕の触れているところがジンジンと熱い気がした。


○月☆日 曇り


今日は侵略活動は休みだ。
皆それぞれ外の世界を楽しみに行った。
私は部屋で日本の書籍を読んでいた。
すると外へ行ったはずのあむが部屋に入ってきた。
理由を尋ねたところ、私と一緒に居たいとのことだ。
二人きりの時は前のように呼び捨てで話してくれる。
あむと二人でいるとなんだか落ち着かないな。
この気持ちは日本の辞書に載っているだろうか。


○月○日 晴天


今回のターゲットは白恋中学校と言うところだ。
明日にでも向かうとしよう。
北海道にあるらしい。
あむは雪を知っているだろうか。エイリアには滅多に降らないからな。
後、この気持ちの正体がつかめた気がする。
地球にはこんな言葉がある。
「四百四病の外」
この戦いが終わったらあむに伝えてもいいかもしれない。




百四病の外
別名恋患いともいうのか。
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