枯れた世界に真珠 | ナノ



「俺は一度、世界の終わりを見た気がするよ」

真剣に言葉を繋ぐ緑川が新鮮だった。
彼のその横顔は懐かしい宇宙人の顔だった。

「どんなかんじだったの?」
「真っ白さ」

何もみえない、闇さえ見えるものか。
ヒロトが見た世界の終わりとはまた違う終わりさ。
そういって目を伏せた緑川の睫毛が僅かに震えていて、ああ、泣くのか。
そう思ったとたんに勝手に伸びた手が自分より一年ばかり後に生まれてきた小さな彼の頭を撫でていた。

「やめろよ、子供じゃないんだから」
「大丈夫、風介にもよくするし」
「そういう問題じゃ…まあいいか」

他にすることも無いしね。

それでも彼の睫毛は徐々に濡れていく。
そんなに終わりがこわいかい?
すると緑川は風丸くんより大分短いポニーテールを縦に揺らした。
「安心しなよ、よく言うじゃない、終わりは始まりだって」
「…」
「お前も、お前の世界も変わっていく」

だから、なかないで

そういったら顔をあげた緑川の震える声が俺に告げた。
ヒロトはもっと泣くんだ。って

俺は吃驚したけど平静を装って笑って言った。
涙はもうかれちゃったよって。

俺の変わりに泣いてあげる。そういった緑川は綺麗な涙をたくさんこぼした。








枯れた世界に真珠

(少しでも砂漠を無くしたい)













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