わかってる | ナノ


ある日の休み時間。
俺はドリンクを飲みながら、風丸君と並んで座っていた。


「俺さ、男の子が好きだったりするんだ」
「…ふうん」


俺の発言に一瞬目を大きく開いた風丸君だけど、
すぐに開いた目を細めて俺から目をそらした。

まるで「わかってる」とでも言いたげな。


「相談、乗ってくれない?」
「何もいいことは言えないと思うけど」
「君に聞いてほしいんだ」
「いいよ、話せよ」


俺は風丸君に話し始めた。
彼は真剣に聞いてくれている。


皆に囲まれていつも笑ってる。
いろんな人に好かれて頼られてさ、
でもつらい事があっても他人に相談するのは苦手みたい。
きっとどういえばいいのか分からないんだろうね。
俺はとてもひどい事をしてしまったって言うのに俺に笑いかけてくれる。
やっぱりサッカーが好きで、まるで風みたい。

そこまで言うと、風丸君が訝しげに俺を見た。
俺だってわかってるよ。君の言いたい事。


「風?円堂にそんなこと言う奴は初めてだな…」
「そう?」
「アイツは熱血だし、俺もあんまり風っぽくは思えないな」
「そうだねえ」


やっぱり俺とお前では感じるものも違うのかな。
そういってカラリと笑った風丸君はとても魅力的だった。
ここで風丸君の言葉に訂正を付け加えておく。


「だって俺円堂君の話なんてしてないもの」
「え?」
「円堂くんだなんて一言も言ってないよ」
「あ…」


すると風丸君は少し申し訳なさそうな表情で俺に言った。


「てっきり円堂かと…」
「いいよ、きっとそう思ってるって思ってた」
「ん…?じゃあ一体誰なんだ?」


あ、言いたくないなら別に言ってくれなくて良いから。
風丸君はそう言ったけど俺は別に言いたくないなんて事は無い。
彼の綺麗な浅葱色を一束手にとって弄りながら口を開く俺を、風丸君はじっと見つめていた。


「風みたいって言葉でピンとこない?」
「え?」
「ふふ、」


そういうニブい所は円堂くんに似てるね。
そう言って彼の唇を一瞬だけ俺のものにして、俺はコートへと戻っていった。

その後彼がどんな表情をして、次に俺に向かってどんな言葉を投げかけるかもわかってる。













わかってる

(君と俺が両思いなのは)





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