可愛い君とポッキーゲーム | ナノ


「風丸くん!今日は何の日かわかる!?」


そう言って風丸くんの部屋に飛び込んだ僕を見て口を開く風丸くん。


「今日は何の日かわかる!?」
「二回も言わんでいい。知ってるぜ?」


これだろ?って風丸くんが両手の人差し指を立ててゆらゆらと揺らす。
ゆびをふるの動作って言ってわかるひともいるんじゃないかな。
その愛らしい仕種は絶賛すべきだね!


「そうそう!!ポッキーの日!」
「吹雪がそんなにハイテンションになるなんてよっぽどポッキーが好きなんだな」


うん!と返事をしてニコッと笑って見せると、風丸くんもフワリと笑う。可愛いなあ。
すると風丸君は何かを思い出したように引き出しの中を探し始めた。


「そういえばさっき1年たちがポッキーくれたっけな…あ、あった」


さっき貰ったばかりのものを探すのに引き出しをごそごそと探し回る辺りから、
風丸君が実は整理整頓が苦手なのが分かる。
ギャップって言うの?この前まで風丸君が座ってるこのベッド、衣服が散乱しててさ、
その中で普通に眠る風丸君を見たときは流石に笑っちゃったなあ。
そういうガサツなところとかが微妙にアツヤに似ててさ、
僕が何とかしてあげなきゃって思うんだよね。
それから定期的に綺麗になるこの部屋になんともいえない満足感と優越感を感じているわけだけど、
少し甘いかな?


「ほら、ポッキー食うか?」
「うんっ!」


適当に袋を破いて2、3本を一気にぼりぼりを口に運ぶ風丸君。
やっぱりギャップ萌えっていうのはこの世に存在するね。
早々に口の中を空にした風丸君が僕に問いかける。


「吹雪は食べないのか?」


お前のために空けたんだぞ?と首をかしげて僕を見る風丸君があまりにも可愛いものだから、
ついつい虐めたくなっちゃった。


「いま食べるよ〜」


そういって笑いながらポッキーの先端を咥える。
そのまま風丸君の肩をつかんでこちらを向かせる。
風丸君はといえば目をぱちくりと見開いて、それから瞬きを数回繰り返す。


「ポッキーって言うか…ポッキーゲームが好きなんだよね、僕」
「へえ… えっ!?」


なんで風丸君ってこんなに可愛いんだろう…男に対して失礼だって?
じゃあ君は口をパクパクさせて目線をあちらこちらに飛ばしながら
わたわたしている風丸くんを可愛いと思わないわけ?
…だよね、うんすごく可愛い。


「僕のために空けてくれたんでしょ?」
「そっ!そうだけどっ!」
「それじゃあポッキーゲーム開始〜」
「えっ、あっ、その、ちょっと、んむ」


有無を言わせぬ勢いで風丸君の口にチョコのついた方を少しねじ込む。
ちみちみとポッキーを減らしていく。
最初はどうしたらいいのか分からず慌てていた風丸君も、
僕が半分くらいポッキーを食べた辺りでやっと観念したみたい。
真っ赤になった顔で渋々と言った様子だけど、少しずつ少しずつ進んでくる。

シンとした部屋に必死そうな風丸君の小さな声だけが響いて、少しだけエロ…エロいね。うん。
僕らを繋ぐポッキーもあと僅か、風丸君の動きがまた止まる。
目だけで「どうしたの?」と問いかけてみるけど風丸君は泣きそうな顔をしてポッキーから口を離してしまった。


「あーっ!」
「ごっごめ…でも、もう無理…!」


恥ずかしすぎるだろ!そう叫んでベッドにうつぶせに倒れこんだ風丸君。
ポッキーゲームは中断されちゃったけど、可愛いから仕方ないや。
でも、これで終わりではないよ?


「あーあ…じゃあゲームに負けた風丸君は罰ゲームだね〜」
「えっ!?」


がばっ、と風丸君が顔を上げる。
僕は笑いながら風丸君のベッドに座った。


「き、聞いてないぞそんなの!」
「だって言ってないもん」
「ずるいぞっ!」


まだ文句を言おうとしてる風丸君の方を掴む。さっきと同じ体制になる。
さっきと違うのは僕らの間には何も無いって事。


「…ひきょうもの」
「狡賢いって言ってよ〜」
「いやそれでいいのか…」


不機嫌そうな風丸君の髪の毛を掻き分けて、その可愛い唇に小さなリップ音を立てて何度もキスをする。
ひっそりと目を空けて風丸君の顔を見ると、さっきの表情は何処へやら、
うっとりとキスに酔いしれている。
やっぱり可愛いな。
そのままゆっくりとベッドに押し倒す。


「…する、のか?」
「うん、…やっぱり」


ポッキーより風丸君のほうが可愛いしおいしいねえ。
そういうと風丸君は「可愛くない美味しくない!」って言って軽く僕の頭を叩いた。
もう…それも可愛いんだってば!










可愛い君とポッキーゲーム





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