好きな人と嫌いなもの | ナノ




「不動、トマトが残ってるぞ」
「…うるせえ」

今、不動は食堂のカウンターの前にいる。
さらにその前には腰に両手を当て仁王立ちした風丸がいる。

「好き嫌いはよくないんだぞ」
「うるせ…てめえにだって何かしらあんだろ、嫌いなものくれぇ」
「まあな」
「じゃあ何で邪魔すんだよ…」


そうすると風丸はにっこりと綺麗な笑みを浮かべながら言った。


「響監督がお前がトマトを食べるように何とかしてくれって言うからさ」
「…あんのクソジジイ」
「目上の人にそんな言い方は駄目だろ不動。ほら食べろ」


そういうと風丸はトマトのへたをつかみ不動の口に押し当てた
不動は口を硬く閉じて何も喋らない


「こんなのちょっと味がするだけじゃないか。一瞬だぞ」


自分の意見を言うために不動は風丸の手を退けて口を開く。


「ふざけんじゃねえそれは食いもんじゃねえ」
「ははっ面白いなあ不動は」


なんとなく風丸が自分より優位にたっている気がして不動は苛立ちを覚えた。
こんな奴の思うとおりにさせるか。
そして不動は一つ閃いた。


「じゃあよ、」
「ん?何だ?…んっ!?」


不動は風丸の口の中にトマトを押し込んだ。
風丸が文句を言いたそうな顔をしたのがちらりと見えた。
不動はそのまま風丸の口に噛み付くように口付けをした。


「!?」


風丸が不動から開放されたときには飲み込んだ記憶の無いトマトはどこかへ行っていて


「…うえ…やっぱりまずいな」
「お、おま…え!!!」


ニヤニヤと不動がこちらを見る。
風丸の顔はまるでトマトのように真っ赤になっている。


「まあまだ普通に食うよりかはマシかな」
「ふざけるなよお前…!変態」
「変態?馬鹿いうなよお前が頼まれたんだろあのジジイに。俺は手伝ってやったんだ」
「そうだけどでも違うだろ!!それに無理やりこんなっ…あ、う」


羞恥で混乱している風丸を愉快そうに見つめて不動はクルリと背を向けた。


「あ、ふど、」
「次トマトが出るのが楽しみだな一郎太クン」
「えっ!?」


それだけ言って不動は歩き出した。
すると後ろから風丸の怒ったような声が届いた。


「絶対に好物にさせてやる!!!!!」
「…へぇ」


本当に楽しみだ。そう思い不動は食堂をあとにした。



好きな人と嫌いなもの


「風丸…お前すごいな…」
「円堂?皆…?…あっ!!!!!」




私の中では二人とも受けなんだけど風丸さんが絡むと明王ちゃんが攻めになるのも仕方ないよね。
風丸さんは豪さんと幸せになって欲しいけど明王ちゃんは犯したいです。