Satisfaction | ナノ
(同じフィールドに居て)

(同じチーム。)

ただそれだけで満たされている
二人はそう思った。



「いくぞ豪炎寺!」
「ああ!」
「「炎の風見鶏!!」」


二人で生み出す火の鳥は、まっすぐ力強くゴールに突き刺さった。

エイリア石にとらわれていたときとは全く違う満足感が風丸を満たしていた。

(ああ、満たされている)


**

「久しぶりにしては上出来だったよな。」

帰り道、風丸が豪炎寺にそう問うと

「そうか?」

と首を傾げる豪炎寺。

「…?よくなかった、かな」

やはり自分とと豪炎寺の力は離れているのかと思い、風丸はちらりと豪炎寺のほうを見る。
そこで風丸は豪炎寺の顔がイタズラをするときのそれであることに気づいた。

「離れてる気がしなかったからな。」
「…は?」
「いつでも隣にはお前が居ると思っていた」
「…っ!」

そして一瞬近づいてすぐに離れる豪炎寺の顔。

「あ…」

唇に残る感覚。
ぼっと赤くなる風丸の顔を見て豪炎寺がしてやったとばかりに笑んだ。

「おまっ…!こんな道端で何してるんだよ!」
「いいだろ減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃないっ!」

そういいつつ少し嬉しそうに俯く風丸を見てさっきとはまた違う笑みを見せる豪炎寺。

「もっと、お前が欲しいな」
「…何を」
「あ、」

思わず零れた本音を聞き取られてしまった。
だが有効活用させてもらおうと豪炎寺は風丸の手をとった。
意味を理解したのかさらに真っ赤になって「ばか!」と怒る風丸は途方もなく可愛かった。
頭を軽く殴られたあとで聞こえた肯定の返事に、豪炎寺は思わずにやけてしまった。


一緒に居れるだけでいい。
それは離れてから気づいた大切な距離感。

((そう思ってたのに。お前がそんなこと言うから))

((もう、次を求めてる))

欲張るだけ手に入る。
なんて満足感。

お互いが同じ事を思っているなんて知らずに、二人は歩いていく。



(全部全部俺のもの。なんて幸せ)

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