にやけちゃうんだ | ナノ
※高校生
「せんぱい」
「嘘臭い」
「そんなあ」
勢いよく抱きついた俺を「嘘臭い」の一言で一蹴。さすが風丸だね。
FFIで同じチームとして戦って幾年。俺と風丸は同じ高校の先輩後輩だ。
気を使わなくていいと風丸は俺に言った。でも俺は先輩呼びに憧れてたんだ。
愛を込めて囁いた俺の先輩呼びはあっけなくスルーされ俺は溜息をついた。
「なあ風丸ー」
「なんだよリュウジ」
「なんで先輩は駄目なのさ」
この前耳元で囁いた「一郎太」はまさかの向こうを向いての無視で
他にもいっくんやら一郎太ちゃんなどあらゆる呼びかたを試したのだがどれも駄目。
今俺の家なんだけど、2人っきりでも駄目なんだ。
「なんかきもちわるい」
「えっ!?ひどい!!」
この人と俺、実は付き合ってるんだけど、そう見える?…見えないよな…。
まさか俺がかわいそうだから仕方なく付き合ってあげた?そうなのかな。
俺は真剣に考えるあまり風丸が呼びかけているのに気づかなくて、ずっとうんうん唸っていた。
すると風丸はフっと笑って俺のほっぺたを両手で挟み込んだ。
「ごめん、嘘だよ。」
「ふえ?風丸?」
「お前に特別な呼び方されたらさ、」
そういって風丸は俺の耳元に小さく言葉を落として、
それから俺の首に手を回して色っぽい笑みでこっちを見た。
俺はモチロン笑顔で風丸にキスしたよ!